最新記事

北極圏

次の決戦の場は北極圏か?──ロシアが狙うカナダと北欧諸国への牽制と全面対決への備え

Future Frozen War?

2023年2月7日(火)14時06分
ブレンダン・コール

北極圏は天然ガスの宝庫

それでもCSISは、北極圏におけるロシアの軍事的活動はもっぱら防衛的なものだとみている。

フィンランドとの国境に近いコラ半島のムルマンスクには原子力潜水艦の基地があるし、液化天然ガス(LNG)や石油精製の大規模工場もある。地球温暖化によって通年の航行が可能になりそうな北極海航路の防衛という目的もありそうだ。

だが、それだけではなく、北極圏におけるロシアの軍事力強化には攻撃的な側面もあるとCSISは指摘する。北極圏に接するカナダや北欧諸国などを牽制し、「可能性は低いが、あり得ないとは言えない」NATOとの全面対決に備えるためだ。

「死活的に重要なコラ半島の核戦力を守るためなら、ロシアはノルウェーやフィンランドへの限定的な侵攻に踏み切る可能性もある」。CSISは今年1月の報告書で、そう警告している。

それに、北極圏は今でも全世界のLNG生産量の約8%を占めている。だから経済的にも戦略的にも、ロシアの未来は北極圏における権益の維持に懸かっている。

北極圏の資源争奪で戦争が始まる可能性は低いとしても、よそで起きた紛争の火の粉が北極圏まで飛んでくるシナリオは十分あり得る。北極研究所のハンパートは言う。

「今となっては、もう2022年以前の北極圏には戻れない」

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

独ZEW景気期待指数、2月は58.3に悪化 市場予

ワールド

J・ジャクソン師死去、米公民権運動の指導者

ワールド

米イラン間接協議、ジュネーブで始まる

ビジネス

印マルチ・スズキ、初の国内向けEV発売 バッテリー
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
2026年2月24日号(2/17発売)

帰還兵の暴力、ドローンの攻撃、止まらないインフレ。国民は疲弊しプーチンの足元も揺らぐ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    オートミール中心の食事がメタボ解消の特効薬に
  • 2
    「目のやり場に困る...」アカデミー会場を席巻したスーツドレスの「開放的すぎる」着こなしとは?
  • 3
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トランプには追い風
  • 4
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワ…
  • 5
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」で…
  • 6
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 7
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
  • 8
    アメリカが警告を発する「チクングニアウイルス」と…
  • 9
    フロリダのディズニーを敬遠する動きが拡大、なぜ? …
  • 10
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 5
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
  • 6
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」で…
  • 7
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 8
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワ…
  • 9
    がんは何を食べて生き延びるのか?...「ブドウ糖」の…
  • 10
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中