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「脱コロナ」後の中国経済、真に重要なのは国民の所得・生活の質 GDP成長率へのこだわりは捨てるべき

WILL CHINA BOUNCE BACK

2023年1月17日(火)13時00分
魏尚進(ウエイ・シャンチン、コロンビア大学経営大学院教授、元アジア開発銀行チーフエコノミスト)

そして長期。ここでは人口減少が最大の問題となる。ベトナムやインドなどの競合国と対照的に、中国の労働年齢人口は10年ほど前から減少を続けている。外国人労働者を大量に受け入れれば一定の効果を期待できるが、一方で社会的・政治的に厄介な問題を招く可能性が高い。出生率の向上を目指す、あるいは退職年齢を引き上げるといった施策の実効性にも疑問符が付く。

だが、もっと現実的な目標がある。労働力の質の向上だ。農村部でも誰もが高校や専門学校に通い、卒業できるようにすれば、平均的な労働者の教育水準は高まる。労働者の技能向上にスマートフォンやタブレットを活用する手もある。オンラインの職業教育に関する無駄な規制はやめて、民間部門の知恵を生かすことが必要だ。

そして最後に、中国政府はGDP成長率へのこだわりを捨てるべきだ。真に大事なのは、国民1人当たりの所得や生活の質を向上させること。そうすれば、総人口が減っても国民は満足してくれる。

©Project Syndicate


230124p15NW_Shang_Jin_Wei.jpg魏尚進(ウエイ・シャンチン)
SHANG-JIN WEI
コロンビア大学経営大学院教授(金融学・経済学)。アジア開発銀行(ADB)でチーフエコノミスト、世界銀行では汚職対策の政策・研究のアドバイザーなどを歴任した。

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