最新記事

米政治

トランプが隠し持っていた「機密情報」、反トランプ派すら驚く「犯罪」の中身とは

2022年8月30日(火)11時12分
フレッド・カプラン(スレート誌コラムニスト)
ドナルド・トランプ前大統領

トランプは押収文書の調査停止を求めて司法省を提訴したが…… SAUL LOEB-GETTY IMAGES-SLATE

<開示された宣誓供述書から読み取れる「マールアラーゴ」にあった機密文書の中身と、それを元大統領が保持し続けることの危険性>

開示された38ページの約半分はセキュリティー上の理由で黒く塗りつぶされていた。

だが、トランプ前米大統領のフロリダ州の邸宅マールアラーゴを家宅捜索するための令状請求に使われた宣誓供述書は、反トランプ派の多くが期待した以上の内容だった。

8月5日に作成され、26日に連邦地裁判事の命令で開示された宣誓供述書によれば、2022年初めに邸宅から既に回収された15箱分の資料の中には、最高機密と記された25件を含む184件の機密文書があった。

一部にはHCS、SI、FISA、ORCON、NOFORNという分類記号が付けられていた。

HCSはスパイが集めた情報を意味する。ここにはスパイの身元に関する情報が含まれている場合がある。

SIは「特殊情報」の略。外国の通信傍受に関する情報で、外国政府が情報の送信または収集に使用する技術や操作に関する情報を含む。

FISAとは、外国情報監視法(FISA)に基づき裁判所から入手した通信傍受に関する情報だ。

ORCONは「原発信者管理」の略。たとえ最高機密へのアクセス権を持つ政府当局者でも、その情報を他者に伝える場合には最初の発信者(例えば、当該情報の発信元がCIAならCIA)の承認が必要なことを意味する。

最後のNOFORNは、外国政府や外国人には渡してはならない文書のことだ。

より高度な機密文書がまだマールアラーゴに

つまり、マールアラーゴにあった文書の少なくとも一部は、大統領関連文書の中でも特に機密性の高いものだった。

宣誓供述書を提出したFBI特別捜査官は、より高度な機密文書が入った箱がまだマールアラーゴにあり、その多くが安全ではない場所に保管されていると信じる「相当の理由」があると主張した。

司法省は裁判所の許可を得た8月8日の家宅捜索で、300件以上の機密文書を押収したとされる。

その正確な内容は開示されておらず、今後も明らかにはならないかもしれないが、この一件をよく知る当局者の1人はワシントン・ポスト紙に対し、「最も機密性の高い秘密」の一部が含まれていると語った。分類記号から判断するだけでもその可能性は十分にあり得る。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ホンダがAstemoを子会社化、1523億円で日立

ビジネス

独ZEW景気期待指数、12月は45.8に上昇 予想

ワールド

トランプ氏がBBC提訴、議会襲撃前の演説編集巡り巨

ビジネス

英総合PMI、12月速報は52.1に上昇 予算案で
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連疾患に挑む新アプローチ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 6
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 7
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 8
    アダルトコンテンツ制作の疑い...英女性がインドネシ…
  • 9
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 10
    FRBパウエル議長が格差拡大に警鐘..米国で鮮明になる…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 7
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 8
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 9
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 10
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中