最新記事

核開発

イラン、IAEAの監視カメラ27台を撤去へ 核合意再建に致命的打撃も

2022年6月10日(金)10時26分
IAEA本部前に掲げられたイランの国旗

国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は9日の理事会で、イランがIAEAの監視カメラ20台とその他の監視機器を停止する計画を書簡で伝えてきたと明らかにした。理事会に出席した外交官らが明らかにした。写真はイランの国旗。IAEA本部で2021年5月撮影(2022年 ロイター/Leonhard Foeger)

国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は9日、イランが2015年核合意に基づき設置されたIAEA監視装置ほぼ全ての撤去を開始したと明らかにし、核合意再建に「致命的打撃」となる恐れがあると懸念を示した。

IAEA理事会は8日、イランの未申告施設でウランの痕跡が検知された問題を巡り、米英仏独が提出した非難決議を賛成多数で採択。イランは決議が採択されれば報復すると警告していた。

グロッシ氏は記者会見で、イランがIAEAの監視カメラ27台などの機器を9日から撤去する計画を伝えてきたと明らかにした。これは2015年核合意の下で設置された追加監視機器の「ほぼ全て」に当たるという。

核合意以前から行われている中核的な監視活動の一環として、40台以上のカメラは引き続き稼働するとした。

グロッシ氏は、停止される監視活動の少なくとも一部を3─4週間以内に再開できなければ、イランの最も重要な核活動を把握できなくなり、核合意の再建に「致命的な打撃」になると述べた。

一方、イランのライシ大統領は演説で、IAEA理事会の非難決議を受けても「われわれは一歩も引き下がらない」と述べた。

英仏独はイランの対応を非難し、IAEAへの全面的な協力を再開するとともに、核活動の加速をやめるよう要求。「こうした行為は状況を悪化させ、核合意の完全履行再開に向けた取り組みを複雑にするだけだ」と訴えた。

米国はこれとは別に声明を出し、イランに外交と緊張緩和を選択するよう促したが、非難は表明しなかった。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2022トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・【まんがで分かる】プーチン最強伝説の嘘とホント
・ウクライナのどさくさに紛れて「侵攻」を狙う、もうひとつの旧ソ連の国
・戦況マップ】ロシア軍は数日でこれだけ占領地域を失った
・遺体ばかりか負傷兵も置き去り──ロシア軍指揮官のプロ意識がさらに低下


今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

中国首相、フォーラムで一段の経済開放約束 日本企業

ワールド

G7、エネ供給支援へ必要な措置講じる用意 外相声明

ワールド

トランプ氏、米空港にICE捜査官派遣と警告 予算巡

ワールド

トランプ氏、イランに48時間以内のホルムズ開放求め
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:イラン革命防衛隊
特集:イラン革命防衛隊
2026年3月24日号(3/17発売)

イスラム神権国家を裏からコントロールする謎の軍隊の歴史と知られざる実力

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ海峡封鎖と資源価格高騰が業績を押し上げ
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公開...母としての素顔に反響
  • 3
    メーガン妃、親友称賛の投稿が波紋...チャリティーの場でにじんだ「私的発信」
  • 4
    BTSカムバック公演で光化門に26万人、ソウル中心部の…
  • 5
    「マツダ・日産・スバル」が大ピンチ?...オーストラ…
  • 6
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 7
    「日本人のほうが民度が低い」を招いてしまった渋谷…
  • 8
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する…
  • 9
    まずサイバー軍が防空網をたたく
  • 10
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 3
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え時の装いが話題――「ファッション外交」に注目
  • 4
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 5
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 6
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 7
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 8
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 9
    「マツダ・日産・スバル」が大ピンチ?...オーストラ…
  • 10
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中