最新記事

オピニオン

ウクライナ戦争を陰で支える中国に制裁を

China's Behind-the-Scenes Role in Ukraine War

2022年3月15日(火)19時24分
ゴードン・チャン(ジャーナリスト、作家)
プーチン

外交的ボイコットが相次いだ北京冬季五輪の開会式に出席したプーチン(2月4日) Sputnik/Aleksey Druzhinin/Kremlin/REUTERS

<侵略者のプーチンが報いを受けるのは当然だ、とバイデンは言った。そうであれば、その侵略を助ける中国も報いを受けるべきだ>

ウクライナでの戦争で中国の習近平国家主席が果たしている役割は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領に比べればずっと目立たないものだ。だが中国もまた、この戦争の当事者であることは間違いない。ただ中国が、ロシアが既に感じているような戦争の余波を感じることになるかどうかは、まだ不透明だ。

ジョー・バイデン米大統領は3月11日、アメリカがNATOや欧州連合(EU)、主要7カ国(G7)と協調して、ロシアに対する貿易上の「最恵国待遇」撤廃を目指すと発表した。バイデンはまた、ロシアの主要輸出品である魚介類、ウォッカとダイヤモンドの輸入禁止と、ロシアへの高級品の輸出禁止もあわせて発表した。

「プーチンは侵略者だ」とバイデンは11日に述べた。「だからその報いを受けるべきだ」

バイデンの言うとおりだ。しかしそれなら、ウクライナでの戦争に関してとりわけ重要な役割を果たしている中国もまた、報いを受けるべきだ。

中ロが宣言した「無制限の」協力関係

習近平は2月4日に、冬季五輪の開会式のために北京を訪れていたプーチンと会談を行い、両国の「無制限の」協力関係を宣言する共同声明を発表した。この会談後にロシアは、中国に大量の石油、天然ガスと石炭を追加供給することを発表。さらに中国はその後、病害を理由に制限していたロシア産小麦の輸入を解禁した。言い換えれば、中国はロシアに対して、東欧で戦争を起こすための資金を提供しているのだ。

中国政府はこれに加えて、アメリカとヨーロッパによって国際的な決済システム「国際銀行間通信協会(SWIFT)」から排除されたロシアの銀行が、中国独自の決済システム「CIPS」を使えるようにしており、ロシアの銀行は近いうちに、中国版SWIFTである同システムに参加する見通しだ。また米クレジットカード大手のビザとマスターカードがロシアでの決済事業を停止したことを受けて、ロシアの銀行は中国のクレジットカード「銀聯(ユニオンペイ)」のカードを提供している。

さらに中国政府は、自国の外交官をロシア国内での任務に就かせており、また国営メディアを使って、ウクライナでの戦争に関するロシアのフェイクニュースを広めている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米新規失業保険申請1.8万件増の24.1万件、予想

ビジネス

米財務長官、FRBに利下げ求める

ビジネス

アングル:日銀、柔軟な政策対応の局面 米関税の不確

ビジネス

米人員削減、4月は前月比62%減 新規採用は低迷=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 5
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 6
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 9
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 10
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 9
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 10
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中