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モーリー・ロバートソンが聞く、JICA海外協力隊が「可能性の最前線」である理由

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2021年11月16日(火)11時00分
ニューズウィーク日本版広告制作チーム

ロバートソン 物理的なインフラは脆弱でも、ITがきっかけで意欲的に技術を身につけた。これはアフリカの未来を考える上でのひとつの鍵だと思います。資本の理論と社会貢献がバランスよく噛み合えばうまくいく、という好事例ですね。そんな貴重な経験をされて、世界観は変わりましたか。

半井 JICA海外協力隊に応募した理由のひとつは開発コンサルタントの実績を積むことでしたが、現地の人達が成長する姿を見ると、自分の技術を彼らのために使うことに価値を感じるようになりました。やがて人材を育成することがやりがいになったのです。

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ザンビアの地方自治住宅省北部州事務所でGISの技術を指導。スタッフの収入が増えるというインセンティブによって、驚くほどのスピードで技術が習得されていった。

今の目標はルワンダでのスポーツアカデミーの設立

ロバートソン 半井さんが教えたCADで人生を変えるきっかけを掴んだ人もいたわけですね。

半井 そうかもしれません。私が教えたCADやGISの両方を習得して、その後イギリスの大学で修士号を取り、瞬く間にキャリアを積んでいった人もいました。

ロバートソン 若くても専門的なIT技術を身につければトントン拍子で出世していく。開発途上国の場合、地下資源があればあるほど、富が公正に分配されずに逆に貧困になる国も多い中で、非常に珍しいケースだと思います。

半井 JICA海外協力隊の活動終了後も、こうした経験をしたいと思い、その後も同じ道に進みました。日本で開発コンサルタントに採用されたのは協力隊の経験があったおかげです。その後ミャンマーやベトナム、インド、ケニアで都市計画やインフラ国際協力の仕事に従事しました。

ロバートソン どの国も大変そうですが、最初の国がザンビアだったのがよかったのかもしれませんね。JICA海外協力隊の活動も含めた約10年で、さまざまな経験をされたと思います。ビジネスの相手が日本人だと楽でしょうか。

半井 むしろ逆ですね。日本ではルールを尊重するあまり、展開するスピードがすごく遅いんです。

ロバートソン 日本人はリスクを恐れて、チャンスを無駄にしても現状維持に固執してしまう。開発途上国でのビジネスを体験した人からは、悔しいという声をよく聞きますね。その後はどのような進路を選択されたのでしょうか。

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2021年9月に神戸市で子供向け英語スポーツ教室「GLORTS ACADEMY」を開校。関西在住のザンビア人が講師となり、運動神経が発達する36の動作を英語で指導している。

半井 2020年にケニアから帰国し、スポーツと教育をテーマとした会社CHEZAを起業しました。日本人向けのGISオンライン研修や、筑波大学のTIAS2.0(つくば国際スポーツアカデミー)との協働で青少年向けの運動能力測定プログラムの開発、子供向け英語スポーツ教室「GLORTS ACADEMY」の運営などを行っています。

中期的にはルワンダにスポーツアカデミーを設立し、アスリートの育成や職業訓練を含む教育事業を展開することを目標としています。

ロバートソン 最後にJICA海外協力隊の活動を振り返って、改めて感じたことを教えてください。

半井 私自身、最も変わったのは本当の豊かさって何だろうと考えるようになったこと。都市計画は、最先端の考え方が重視されがちなのですが、何をすれば現地の人の生活が豊かになるのか。その考えが人材を育成するという事業に繋がりました。自分の人生を変えるほどの濃密な2年間でした。

※対談は新型コロナウイルス感染症予防対策を講じた上で実施しています。

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