最新記事

アマゾン

アマゾン従業員用のマインドフルネス設備「AmaZen」、「絶望クローゼット」と批判集中

2021年6月4日(金)19時01分
松丸さとみ

アマゾン従業員用のマインドフルネス設備「AmaZen」 photo:amazon

<米アマゾンは5月27日、従業員が就業中の疲れを癒すための電話ボックス大の「禅ブース」を導入。しかし評判は散々だった...... >

330億円を投じた健康促進プログラムの一環

インターネット通販大手の米アマゾンは5月27日、従業員が就業中の疲れを癒すための電話ボックス大の「禅ブース」を導入したと公式ツイッターで発表した。これを見たツイッター・ユーザーからは、「ディストピアだ」「簡易便所の方がまだ使える」「棺桶みたい」「嘆きのブース」など批判が殺到。この投稿は現在、削除されている。

アマゾンは5月17日、従業員の健康と安全を促進するプログラム「WorkingWell」(健やかに働く)を米国事業で開始すると発表した。「地上でもっとも安全な職場」を目指し、2021年に3億ドル(約330億円)を投じて、従業員の心と体の健康を促進するプログラムを提供する。ストレッチ・スペースの創設や、休憩室で提供される食事に健康的な選択肢を増やすなど、この取り組みを通じて、2025年までに負傷件数を50%削減するとしている。

その目玉の1つに位置付けられているのが、「AmaZen」というブースだ。電話ボックスより一回り大きいサイズの1人用小部屋で、中には観葉植物が飾られ、モニターと椅子が置かれている。配送センターなど職場内に設置され、シフトの合間にここへ来て、ガイド付き瞑想や、ポジティブな言葉を唱える「アファメーション」、静かな動画と音楽など、マインドフルネスを実践できるプログラムが楽しめるという。現在は試験運用中としている。

アマゾンは発表文の中で、このブースを利用した従業員の感想を紹介。配送センターで働くある従業員は、「AmaZenは、自分のために時間を取り、いったん立ち止まって自分を取り戻す機会を与えてくれる。おかげで集中力が高まる」などと話している。

「自殺ブース」「棺桶」「ディストピア」...瞑想ブースを揶揄する声

ところが、アマゾンの公式アカウントがこの禅ブースを紹介する動画をツイッターに投稿したところ、批判が殺到した。英公共放送BBCは、「SNSユーザーから多くの冷笑を買ったため削除した」と報じている。

ライターのアレックス・プレスさんは、アマゾンのツイート(削除前)を引用する形で、「搾取され、監視されまくっているアマゾン労働者にとっては、簡易トイレの方がもっと使えたんじゃないかと思う」とツイートした。

ジャーナリストのタリア・ラビンさんは、「移動式の絶望クローゼットより、生活できる給料と労働環境の方がマシ」とツイートした。

また、アマゾンが当初ツイッターに投稿していた動画を使い、米人気テレビ・アニメ『フューチュラマ』で登場した、「自殺ブース」に例えたビデオを作った人もいる。

他にも、SNSには「棺桶」「ディストピア」などの声もあった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米リバースレポの利用枯渇、FRBの量的引き締めは先

ワールド

米連邦緊急事態管理局、職員の新規採用凍結を年末まで

ビジネス

EU、アドテック巡りグーグルに少額の制裁金科す見込

ビジネス

午前の日経平均は大幅続落し4万2000円割れ、半導
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:健康長寿の筋トレ入門
特集:健康長寿の筋トレ入門
2025年9月 2日号(8/26発売)

「何歳から始めても遅すぎることはない」――長寿時代の今こそ筋力の大切さを見直す時

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体」をつくる4つの食事ポイント
  • 2
    首を制する者が、筋トレを制す...見た目もパフォーマンスも変える「頸部トレーニング」の真実とは?
  • 3
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シャロン・ストーンの過激衣装にネット衝撃
  • 4
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動…
  • 5
    「体を動かすと頭が冴える」は気のせいじゃなかった⋯…
  • 6
    映画『K-POPガールズ! デーモン・ハンターズ』が世…
  • 7
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 8
    就寝中に体の上を這い回る「危険生物」に気付いた女…
  • 9
    シャーロット王女とルイ王子の「きょうだい愛」の瞬…
  • 10
    世界でも珍しい「日本の水泳授業」、消滅の危機にあ…
  • 1
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 2
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット民が「塩素かぶれ」じゃないと見抜いたワケ
  • 3
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 4
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動…
  • 5
    皮膚の内側に虫がいるの? 投稿された「奇妙な斑点」…
  • 6
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密…
  • 7
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 8
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 9
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 10
    脳をハイジャックする「10の超加工食品」とは?...罪…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 7
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 10
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中