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670万種の種子や胞子、精子、卵を月で保管する「月の方舟」構想が明らかに

2021年3月19日(金)17時50分
松岡由希子

極低温の環境でロボットを効率的に稼働させる手法も検討

この構想では、小型ロボット「スフィアX」に溶岩洞を探査させ、レゴリス(表土)や砂塵、岩のサンプルを採取するとともに、溶岩洞の配置や温度、構造にまつわる情報を収集して、「月の方舟」に適した溶岩洞の特定に役立てることも提案されている。

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小型ロボット「スフィアX」-SpaceTREx

月の地下の溶岩洞に建設される「月の方舟」では、種子をマイナス180度、幹細胞をマイナス196度で保管する。極低温の維持などに要する電力は太陽光発電でまかなう仕組みだ。

極低温の環境でロボットを効率的に稼働させる手法として、イットリウム系超伝導体を強力なネオジム磁石の上で浮遊させる「量子浮揚」の応用も検討されている。なお、一連の建設には、40回のロケットの打ち上げを要すると見込まれる。

現代版ノアの方舟としては、世界中の農作物の種子を集めて保管するノルウェー領スッピツベルゲン島のヴァールバル世界種子貯蔵庫のほか、2018年10月には、米ラトガース大学の研究チームが「微生物版ノアの方舟」の創設を提言する論文を発表している。

Lunar Pits and Lava Tubes for a Modern Ark

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