中国TPP参加表明の本気度――中国側を単独取材

2020年11月28日(土)20時00分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

A:今年11月24日に中共中央弁公庁と国務院弁公庁は共同で「知的財産権保護を強化することに関する意見」を発表しました。これにより知的財産権侵害に対する罰則を強化し検挙率を高めようとしています。

2018年の中国の知的財産権保護に関する社会の満足度は76.88点に上昇し、世界知的財産権組織が発表した「2019年全球(グローバル)創新指数」では中国は世界の第14位になってますし、世界銀行が発布した「2020年営商(ビジネス)環境報告」では、中国は世界で第31位になっています。

2019年12月、米中双方は知的財産権保護に関して深く討論をしていますが、そのとき少なからぬ方面でコンセンサスを得ています。たとえば企業秘密保護、薬品に関する知的財産権、特許の有効期限の延長、電子商取引プラットフォームにおける海賊版や偽ブランドを駆逐することとその輸出入規制、ブランド名の悪意ある登記、および知的財産権の司法執行とプロセスの強化などに関して米中間でコンセンサスを得ています。

これらのさまざまな方面からの努力により、2025年までには国際社会が満足する一定のレベルまで知的財産権の保護が高められると考えられます。

以上から中国が高らかにTPP11への加入意思を表明したということは、必ず実現させることを表れだということができ、それを可能ならしめるための努力をデジタル化監視システムの導入とともに必死になって高めていると結論できます。

以上が取材内容だ。

既にあまりに長くなりすぎたので、これに対するコメントや評価分析は、又の機会に譲りたい。少なくとも言えるのは、「中国は本気だ」ということである。日本は構えをしっかりしなければならないだろう。

このコラムは10月27日に中国問題グローバル研究所のウェブサイトで公開された論考を転載した)。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

米、パレスチナ国家承認の計画なし=バンス副大統領

ワールド

バンス氏、28年米大統領に「焦点当てず」 後継者巡

ワールド

独がイスラエルへの軍用品輸出停止、ガザ方針に反発 

ビジネス

中国、ドイツ最大貿易相手国に復帰の公算 独対米輸出
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
2025年8月12日/2025年8月19日号(8/ 5発売)

現代日本に息づく戦争と復興と繁栄の時代を、ニューズウィークはこう伝えた

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの母子に遭遇したハイカーが見せた「完璧な対応」映像にネット騒然
  • 2
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を呼びかけ ライオンのエサに
  • 3
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大ベビー」の姿にSNS震撼「ほぼ幼児では?」
  • 4
    【クイズ】次のうち、「軍用機の保有数」で世界トッ…
  • 5
    職場のメンタル不調の9割を占める「適応障害」とは何…
  • 6
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
  • 7
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医…
  • 8
    バーボンの本場にウイスキー不況、トランプ関税がと…
  • 9
    経済制裁下でもロシア富豪はますます肥え太っていた…
  • 10
    イラッとすることを言われたとき、「本当に頭のいい…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を呼びかけ ライオンのエサに
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 6
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 7
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 8
    メーガンとキャサリン、それぞれに向けていたエリザ…
  • 9
    こんなにも違った...「本物のスター・ウォーズ」をデ…
  • 10
    カムチャツカも東日本もスマトラ島沖も──史上最大級…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 4
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 5
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 10
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中