最新記事

2020米大統領選

アメリカ大統領選挙の一大イベント「党大会」 最終盤戦へ号砲

2020年8月17日(月)18時09分

米国の歴史上、大統領選候補者指名の党大会は約200年も前に開催が始まった。写真は2016年7月に開催された、民主党の党大会のワンシーン(2020年 ロイター/Scott Audette)

米国の歴史上、大統領選候補者指名の党大会は約200年も前に開催が始まった。この党大会はここ何十年か、本選までわずか数カ月のところで各党候補者を全米テレビ中継で紹介する重要なイベントになっている。17日に始まり翌週に続く民主、共和の全国党大会について、情報をまとめた。

指名選出

全国党大会は、かつては候補者を文字通り選出する場だった。しばしば幾度も投票が繰り返され、長時間の対決があり、決定はしばしば党長老による密室会議の体を取っていた。しかし、ここ何十年もそうしたことは起きていない。

党大会を開く段で指名確定がほとんど見えていなかったのは1976年のミズーリ州カンザスシティーでの共和党大会以後はない。その大会では結局、共和党の現職大統領、ジェラルド・フォード氏が後に大統領になるロナルド・レーガン氏を退けた。

党大会での投票が1回で決まらなかったのは1952年のシカゴでの民主党大会が最後だ。そのときは、イリノイ州知事のアドレイ・スティーブンソン氏が選出に至った。

今は、指名候補者はそれまでの州ごとの予備選挙で確定して党大会を迎える。党大会で各州代議員の投票によって指名が正式決定する。党大会は党の候補者とメッセージを発表するための場となっている。

今年の党大会は民主党が17─20日、共和党が24─27日。新型コロナウイルス対策で、いずれもほとんどオンライン形式で行われる。本選は11月3日。

きら星のような若手も登壇

民主、共和とも4夜にわたって繰り広げられる演説はテレビのゴールデンタイムに中継され、聴衆からの候補者への支持を盛り上げ、本選に向けた最終盤戦への号砲の役割を果たすことが意図されている。

両党とも応援演説者を次々に繰り出し、最終日の最後の指名受諾演説で民主党はジョー・バイデン前副大統領が、共和党はトランプ現大統領が登場する。

党大会は、党が将来の有望株と見なす人材にスポットライトを当てる重要な機会でもある。ただ、この機会を2004年のバラク・オバマ氏ほど見事に活用した人物は少ない。当時、知名度の低いイリノイ州議会上院議員だったオバマ氏は、演説で政治の2極化を批判。この基調演説をきっかけに同氏は4年後の大統領選出を手に入れた。

民主党は今年、党が期待の星と位置づける若手政治家17人に場を与える。今回副大統領候補に一時有望視された元ジョージア州議会下院議員のステイシー・エイブラムズ氏もその1人だ。同氏は18日に基調演説で登壇する。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国軍、台湾周辺で実弾射撃訓練開始 演習2日目

ワールド

キーウ郊外で停電続く、ロシア空爆後 住民は避難所で

ワールド

香港、民間住宅用地供給が増加見通し 市場の回復基調

ワールド

ゼレンスキー氏「プーチン氏を信頼せず」、勝利に米の
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と考える人が知らない事実
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 5
    「サイエンス少年ではなかった」 テニス漬けの学生…
  • 6
    「すでに気に入っている」...ジョージアの大臣が来日…
  • 7
    【銘柄】子会社が起訴された東京エレクトロン...それ…
  • 8
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 6
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 7
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 8
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 9
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 10
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 5
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中