最新記事

アメリカ政治

トランプ、陰で習近平に再選支援を要請 ボルトン前補佐官が著書で暴露

2020年6月18日(木)11時38分

ボルトン前米大統領補佐官(国家安全保障担当)は近く出版予定の著書で、トランプ大統領が昨年6月に中国の習近平国家主席と会談した際、自身の再選の支援を要請していたと明かしている。政権の内幕を描いた著書の抜粋が17日、ワシントン・ポスト、ニューヨーク・タイムズ、ウォールストリート・ジャーナルの3紙に公表された。写真はボルトン氏(左)とトランプ大統領(右)。2019年2月、ワシントンのハワイとハウスで撮影(2020年 ロイター/Leah Millis)

ボルトン前米大統領補佐官(国家安全保障担当)は近く出版予定の著書で、トランプ大統領が昨年6月に中国の習近平国家主席と会談した際、自身の再選の支援を要請していたと明かしている。政権の内幕を描いた著書の抜粋が17日、ワシントン・ポスト、ニューヨーク・タイムズ、ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)の3紙に公表された。

ボルトン氏は「驚いたことに(習氏との会談)当時、トランプ氏は話題を次期大統領選に転換し、中国の経済力の大きさをほのめかしながら、再選を確実にするための手助けを習氏に懇願していた。トランプ氏は米国の農家の票と、中国による大豆や小麦の購入増がもたらす選挙への影響がいかに重要かを強調した」と述べた。

またボルトン氏は、野党・民主党がトランプ氏の弾劾調査を、いわゆるウクライナ疑惑に絞って進めたのが間違いだったと指摘。WSJによると「トランプ氏の外交政策全般にわたってもっと時間をかけて組織的に調べていれば、弾劾裁判の結果は違ったものになっていた可能性は十分にあった」と主張している。

民主党が多数派を占める下院はトランプ氏の弾劾決議を可決したが、その後与党・共和党が優勢な上院で行われた弾劾裁判で同氏の無罪評決が出された。

ホワイトハウスは現時点でコメントの要請に応じていない。

11月の大統領選の民主党候補指名を確実にしたバイデン前副大統領は声明で「これらの記述が事実なら、道徳的に不快なだけでなく、トランプ氏が米国民に対して負う神聖な義務に反する」と批判した。

米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表は、トランプ氏が習氏に再選支援を求めたとのボルトン氏の主張について「全く真実ではない」と指摘。「私はその会談に同席した。そのような常軌を逸したことがあれば当然記憶している」とし、「会談でそのようなことが起きなかったのは間違いない。完全に常軌を逸している」と述べた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエルがイランに攻撃か、規模限定的 イランは報

ビジネス

米中堅銀、年内の業績振るわず 利払い増が圧迫=アナ

ビジネス

FRB、現行政策「適切」 物価巡る進展は停滞=シカ

ビジネス

英インフレ、今後3年間で目標2%に向け推移=ラムス
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離れ」外貨準備のうち、金が約4%を占める

  • 3

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負ける」と中国政府の公式見解に反する驚きの論考を英誌に寄稿

  • 4

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 5

    「韓国少子化のなぜ?」失業率2.7%、ジニ係数は0.32…

  • 6

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 7

    日本の護衛艦「かが」空母化は「本来の役割を変える…

  • 8

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 9

    毎日どこで何してる? 首輪のカメラが記録した猫目…

  • 10

    便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 4

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 7

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 8

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 9

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 10

    大半がクリミアから撤退か...衛星写真が示す、ロシア…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中