最新記事

感染爆発

米、新型コロナウイルス感染100万人突破 カリフォルニア州は製造業などの再開計画

2020年4月29日(水)12時15分

ロイターの集計によると、米国の新型コロナウイルス感染者数が28日、累計100万人を突破した。世界全体の感染者総数の3分の1を占める。写真はデトロイトで無料のコロナ検査を待つ市民ら(2020年 ロイター/REBECCA COOK)

ロイターの集計によると、米国の新型コロナウイルス感染者数が28日、累計100万人を突破した。世界全体の感染者総数の3分の1を占める。

感染者数は過去18日間で倍増。しかし、検査キットの不足や検査能力の欠如によって確認されていないケースもあるとみられ、実際の感染者数はより多い可能性がある。

米国の感染者数はイタリアやスペイン、フランスのおよそ5倍に上る。ロイターの集計によると、感染が最も深刻な20カ国のうち、米国は人口1万人当たりの感染者数が約30人と5番目に多い。最も多いのはスペインの48人で、ベルギー、スイス、イタリアと続く。

新型コロナ感染症による米国内の死者は前日から2000人以上増えて5万8233人となり、ベトナム戦争の米死者数5万8220人を超えた。

州別ではニューヨーク州が米国内の感染者総数の約30%を占め、ニュージャージー、マサチューセッツ、カリフォルニア、ペンシルバニア各州が続く。

一方、新型コロナ感染拡大で休止状態にある経済活動再開に向けた動きも複数の州で強まっている。

先週、各州の先陣を切ってロックダウン(都市封鎖)措置を一部緩和したジョージア州では前日、レストランでの店内飲食や映画館の営業再開が容認された。テキサス州知事も前日、5月1日からレストランや小売店などの営業を段階的に再開する方針を示した。フロリダ州知事は29日にロックダウン措置緩和の行程表を示す見通し。

カリフォルニア州のニューソム知事は28日、製造業や店の外で受け渡しを行う小売店など「リスクの低い職場」について、検査や追跡の拡充に伴い今後数週間中に再開できるとの見通しを示した。

同州保健当局者は、在宅勤務が不可能なオフィス業務など非必須事業や保育施設も第1段階の再開対象に含まれると説明した。

ニューソム知事は、州内の学校について、休校に伴う学習の遅れを補うとともに労働者の仕事再開を可能にするため、早ければ7月にも新年度を開始する可能性があるとした。

また「数カ月ではなく数週間後には意味のある変更を行えるだろう」と述べた。

一方で、ネイルサロンなど比較的リスクの高いビジネスや、コンサートなど大規模集会の再開には数カ月かかるとの見通しを示した。

同知事は外出制限の解除時期をまだ示しておらず、安全面の条件を満たした段階でオレゴン、ワシントン両州と連携して経済を再開する考えをこれまでに示している。

一方、感染の「第2波」を巡る懸念から、ロックダウン措置の緩和を先送りする州も少なくない。

ニューヨーク州のクオモ知事は、新型コロナ感染症による新規入院者数の3日移動平均が約1カ月ぶりの水準に減少したものの、経済活動を再開させる前に、病床利用が70%を下抜け、感染者1人が何人に感染させるかを示す「基本再生産数」が1.1を下回ることを確認したいとの考えを示した。

米商工会議所は、経済再開に向け、連邦、州、地方政府による整合性のある政策を要求。同時に、企業活動再開を阻害する恐れがあるとして、公共衛生に関する指針の策定には異議を唱えた。

ワシントン大学のモデル分析に基づく米国内の新型コロナ感染症による8月4日までの死者予測は7万4000人超と、前回予測の6万7000人から上方修正された。

一部州で新型コロナ危機が安定期に差し掛かる兆しが垣間見られる一方、ハワイ、ミシシッピ、テキサス、ワイオミング、ユタ、ネブラスカ、ノースダコタの7州はピーク時にある、もしくは数週間中にピークを迎える可能性があるとみられている。

*内容を追加しました。

[ワシントン/ニューヨーク ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【関連記事】
・東京都、新型コロナウイルス新規感染47人確認 都内合計4106人に
・武漢ウイルス研究所、新型コロナ製造説を否定「ゲノム中に人為的な情報はない」
・ベルギーの死亡率が世界一高いといわれる理由、ポルトガルが低い理由.......
・英、子供が炎症で死亡 川崎病と似た症状も、新型コロナウイルスとの関連調査へ


20050512issue_cover_150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年5月5日/12日号(4月28日発売)は「ポストコロナを生き抜く 日本への提言」特集。パックン、ロバート キャンベル、アレックス・カー、リチャード・クー、フローラン・ダバディら14人の外国人識者が示す、コロナ禍で見えてきた日本の長所と短所、進むべき道。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

冷戦時代の余剰プルトニウムを原発燃料に、トランプ米

ワールド

再送-北朝鮮、韓国が軍事境界線付近で警告射撃を行っ

ビジネス

ヤゲオ、芝浦電子へのTOB価格を7130円に再引き

ワールド

インテル、米政府による10%株式取得に合意=トラン
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
2025年8月26日号(8/19発売)

中国の圧力とアメリカの「変心」に危機感。東アジア最大のリスクを考える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 2
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋肉は「神経の従者」だった
  • 3
    一体なぜ? 66年前に死んだ「兄の遺体」が南極大陸で見つかった...あるイギリス人がたどった「数奇な運命」
  • 4
    【写真特集】「世界最大の湖」カスピ海が縮んでいく…
  • 5
    『ジョン・ウィック』はただのアクション映画ではな…
  • 6
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 7
    中国で「妊娠ロボット」発売か――妊娠期間も含め「自…
  • 8
    顔面が「異様な突起」に覆われたリス...「触手の生え…
  • 9
    これぞ「天才の発想」...スーツケース片手に長い階段…
  • 10
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家の…
  • 1
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 2
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに感染、最悪の場合死亡も
  • 3
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人」だった...母親によるビフォーアフター画像にSNS驚愕
  • 4
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家の…
  • 5
    中国で「妊娠ロボット」発売か――妊娠期間も含め「自…
  • 6
    20代で「統合失調症」と診断された女性...「自分は精…
  • 7
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コ…
  • 8
    「このクマ、絶対爆笑してる」水槽の前に立つ女の子…
  • 9
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋…
  • 10
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 10
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中