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米イラン対立

イラン司令官殺害攻撃、イラクとシリアの関係者が米に情報提供か

2020年1月10日(金)11時45分

イラン革命防衛隊のソレイマニ司令官らの殺害を巡り、イラクとシリアの両空港内部の人間が米軍に協力、情報提供していた疑いがあることが、関係者らへの取材で分かった。写真は攻撃を受けたソレイマニ司令官の車両 REUTERS

米国は3日、イラクのバグダッド国際空港に着陸したイラン革命防衛隊のソレイマニ司令官の車列をドローン攻撃、司令官らを殺害したが、司令官らの動きと居場所を米軍が特定する上でイラクとシリアの両空港内部の人間が米軍に協力、情報提供していた疑いがあることが、関係者らへの取材で分かった。

ロイターが取材したのは、イラクによる捜査状況を直接知る治安責任者2人、バグダッド国際空港の従業員2人、警官2人、ソレイマニ氏が当日使ったシリアのシャーム・ウィングス航空の従業員2人。

取材によると、イラクの治安機関は事件直後に空港を封鎖して捜査に乗り出した。同機関幹部の1人は、「バグダッド国際空港内のスパイ・ネットワークが(司令官の同空港到着についての)機密治安情報の漏えいに関わっていたことを示す強い兆候」をイラクの捜査官らがつかんでいると述べた。

調べを受けている容疑者にはバグダッド国際空港の警備スタッフ2人とシャーム・ウィングス航空の従業員2人が含まれており、「スパイの1人は(ソレイマニ氏が離陸した)シリア・ダマスカスの空港、別の1人は搭乗機内にいた」とみて調べている。また捜査官らは、4人は米軍に情報を提供する大きなグループの一部だと考えている。

イラクの治安責任者2人によると、シリアの情報機関はシャーム・ウィングス航空の従業員2人について調べている。

イラクの治安責任者は「バグダッドの捜査チームによる最初の調べで、ソレイマニ氏の動きについての当初の情報はダマスカス空港からもたらされたことが示された」と述べた。「バグダッド国際空港にいたスパイの仕事は、司令官の着陸と、一行の車列の詳細を確認することだった」という。

イラクの治安関係者によると、ソレイマニ氏は自身の安全への懸念を高め、事件当日はプライベート機を避けてシャーム・ウィングス航空のエアバスA320機を利用していた。

複数の米高官はロイターに対し、米国がドローン攻撃の数日前からソレイマニ氏の動きを追跡していたことを明らかにした。

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