最新記事

ウクライナ疑惑

トランプ弾劾「主戦場」は上院へ 共和・民主の攻防戦略は

2019年12月12日(木)09時27分

マコネル院内総務の戦略

共和党のマコネル上院院内総務は、下院が弾劾決議案を可決すれば上院で弾劾裁判を始め、民主党のシューマー上院院内総務と裁判のルールで協議を試みると公言している。

シューマー氏から同意を得られなければ、マコネル氏はこのルールを通すのに必要な51人の議員から賛成を取り付けようとするだろう。マコネル氏によると、議員51人の同意が得られない場合には、上院議員らの提出する一連の動議や提案を通じてルールが決まることになる。

クリントン氏の弾劾裁判ではこのルールが賛成100、反対0で超党派で可決された。決議には審議の時間運営、証人の要請、論証の提示の仕方などが含まれた。

弾劾裁判はいつまで続くか

いつまで続くか不透明だが、クリントン氏の弾劾裁判は5週間続き、クリントン氏の無罪放免で終了した。

下院民主党は来年の大統領選に向けて、民主・共和両党の支持が拮抗する選挙区での有権者獲得にワシントンの政治の駆け引きは逆効果との党内の懸念を受けて、弾劾手続きを急いだ。共和党は民主党の進め方は拙速と批判してきた経緯があり、上院でマコネル氏がどのようなペースで裁判を進めるかは不明。

弾劾裁判は大統領選の民主党有力候補であるサンダース上院議員やウォーレン上院議員の選挙戦を実質的に脇に追いやりかねず、バイデン氏も証言を求められれば同様のことになる。

トランプ氏は民主党の弾劾調査を使って支持者をたきつけ、選挙戦の資金集めにつなげている。同氏が正式な弾劾裁判入りを望むと公言しているところからは、同氏が上院での戦いの長期化に備えられるように見える。

マコネル氏は早期幕引きが可能か

クリントン氏の弾劾裁判で上院で採用されたルールは、大統領への告発を却下する動議を提出することを上院議員に認めた。今回もこうしたルールが決まって、動議が出され単純過半数で可決されることになれば、弾劾手続きは事実上終了する。

クリントン氏の弾劾裁判の最中、同氏に同情的な民主党議員が動議を提出したが、否決された。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます



20191217issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

12月17日号(12月10日発売)は「進撃のYahoo!」特集。ニュース産業の破壊者か救世主か――。メディアから記事を集めて配信し、無料のニュース帝国をつくり上げた「巨人」Yahoo!の功罪を問う。[PLUS]米メディア業界で今起きていること。


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

北朝鮮、韓国が軍事境界線付近で警告射撃を行ったと批

ワールド

インテル、米政府による10%株式取得に合意=トラン

ワールド

焦点:中国、社会保険料の回避が違法に 雇用と中小企

ビジネス

米国株式市場=ダウ最高値更新、FRB議長の利下げ示
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
2025年8月26日号(8/19発売)

中国の圧力とアメリカの「変心」に危機感。東アジア最大のリスクを考える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 2
    「このクマ、絶対爆笑してる」水槽の前に立つ女の子、ホッキョクグマが取った「まさかの行動」にSNS大爆笑
  • 3
    3本足の「親友」を優しく見守る姿が泣ける!ラブラドール2匹の深い絆
  • 4
    中国で「妊娠ロボット」発売か――妊娠期間も含め「自…
  • 5
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 6
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家の…
  • 7
    これぞ「天才の発想」...スーツケース片手に長い階段…
  • 8
    一体なぜ? 66年前に死んだ「兄の遺体」が南極大陸で…
  • 9
    海上ヴィラで撮影中、スマホが夜の海に落下...女性が…
  • 10
    抽象的で理解の難しい『2001年宇宙の旅』が世に残り…
  • 1
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに感染、最悪の場合死亡も
  • 2
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人」だった...母親によるビフォーアフター画像にSNS驚愕
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家の…
  • 5
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コ…
  • 6
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 7
    中国で「妊娠ロボット」発売か――妊娠期間も含め「自…
  • 8
    20代で「統合失調症」と診断された女性...「自分は精…
  • 9
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大…
  • 10
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 9
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 10
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中