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香港のこれから

【デモ隊の告白9】「警察を調査しないと、みんなの気が済まない」駅で花を供える女性

CONFESSIONS OF A MASK

2019年12月4日(水)16時35分
チャン・ロンヘイ(写真)、ウィニー・ウォン(文)

PHOTOGRAPH BY CHAN LONG HEI

<区議選で民主派が圧勝したが、再びデモ隊と警察との衝突が発生。香港はこれからどうなるのか。デモ参加者たちが何のために戦ってきたか、それぞれの本音を聞いた本誌「香港のこれから」特集より>

香港で逃亡犯条例改正案に反対するデモが始まって6カ月。身の安全を守るため、デモ参加者のほとんどはマスクで顔を隠してきた。

時に暴徒と非難されながら、彼らは何のために戦ってきたのか。その素顔と本音を香港人の写真家・ジャーナリストが伝える。

本誌12月3日号(発売中)「香港のこれから」特集で取り上げた、15人のデモ参加者による「仮面の告白」。そのうち2人をここに掲載する。

駅で花を供える女性 蔡(21)、陳(21)

■蔡

もともと社会問題にはさほど関心がないが、6月9日に友人が逮捕されたことで心が痛み、運動に参加するようになった。

(太子駅に)花を供える行動で、MTR(香港地下鉄)などの関連組織に圧力をかけ、監視カメラの映像や証拠を提出させたい(太子駅構内で8月31日深夜に発生した警察によるデモ隊の排除で、デモ隊側に死者が出たと信じられている)。

(運動が収まるために必要なのは)警察部隊を解散させること。ブラックな警察を徹底的に調査しないと、みんなの気が済まない。香港の問題はどれも水面下にある。一度に全ての問題を解決しようとするのは難しい。香港政府は共産党政権に支配されているので、楽観視できない。

■陳

8月下旬までは外国で遊学していた。気がとがめ、香港に戻ったら何としても抗議活動に参加したいと思った。

警察側は駅を全面的に封鎖し、監視カメラの映像も公開せず、(8月31日の)事件の顚末を説明しなかった。疑惑は膨らむ一方で、負傷者の状況や死者の有無も未知のまま。(花を供えることは)何の力にもならないかもしれないが、私にできることはこれしかない。

香港人は優しくて素晴らしい人ばかり。香港人でいるだけで希望はある。

<2019年12月3日号「香港のこれから」特集より>

※他のデモ参加者による「仮面の告白」:
【デモ隊の告白1】「前線にも行った。香港にはまだ希望を持っている」女子高校生
【デモ隊の告白2】「北京の仕事を辞めて香港に戻り、消火部隊に入った」25歳女性
【デモ隊の告白3】「民主はなくてもイギリス人は愛国心を押し付けなかった」運転手
【デモ隊の告白4】「僕は会社にも行くが、闘争こそが真実」フル装備の香港人男性
【デモ隊の告白5】「この街が好きな理由を取り戻したい」香港人救急ボランティア
【デモ隊の告白6】「次の世代のために自分が銃弾を受け止める番」20歳女性
【デモ隊の告白7】「中国本土で生まれ、愛国心のある子供だったが」24歳男性
【デモ隊の告白8】「香港が中国のただの1つの省になってほしくない」中産階級の男性
【デモ隊の告白10】「なぜ若者が遺書まで書き残し、立ち上がるのか」断食をした老人
【デモ隊の告白11】「レノンウォールの『成長』に衝撃を受けた」見守る香港女性たち
【デモ隊の告白12】「プロテスタントとカトリックが支援に駆け付けた」香港の牧師

20191203issue_cover150.jpg
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12月3日号(11月26日発売)は「香港のこれから」特集。デモ隊、香港政府、中国はどう動くか――。抵抗が沈静化しても「終わらない」理由とは? また、日本メディアではあまり報じられないデモ参加者の「本音」を香港人写真家・ジャーナリストが描きます。

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