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中国発の量子コンピューターショックに世界は耐えられるか?

Are We Ready for a 'Quantum Surprise' From China?

2019年10月28日(月)19時10分
フレッド・グタール(サイエンス担当)

この実験で使われたのは、中国の量子通信ネットワークを支えるために計画された衛星群の第一弾だ。中国はまた、北京と上海をつなぐ2000キロに及ぶ量子通信ネットワークの幹線の建設や、ネットワークの全土への拡大を計画している。

標準化機関はすでに、量子コンピューターでも解読が困難な新たな暗号プロトコルの策定を計画中だ。もっとも、桁数の大きな数字の鍵に依存しない新しい暗号化の仕組みに移行するには、データ通信インフラの大規模な更新が必要となる。

アメリカは第5世代(5G)移動通信システムの分野で、気がつかないうちに中国に追いつかれていたという苦い経験を持つ。だからアメリカの当局者や政治家は量子コンピューターの分野で同じ轍を踏むことを懸念し、ある種の産業政策が必要だと訴える。「アメリカには非常に強いテクノロジー企業がいくつもある」と、米国務省高官としてサイバーセキュリティ分野を担当していたクリストファー・ペインターは言う。「だがもしアメリカの強みを失いたくなければ、この分野を戦略的レベルで重大なものとして扱う必要がある」

(翻訳:村井裕美)

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