最新記事

韓国

韓国で広がるアフリカ豚コレラ感染......南北境界線の一般開放を中断

2019年10月16日(水)17時30分
佐々木和義

南北国境の非武装地帯(DMZ)の一般開放を相次いで中断

国防部は9月19日以降、「DMZ平和の道」の一般開放を相次いで中断した。文在寅大統領と金正恩朝鮮労働党委員長が板門店で会談を行った一周年を記念して2019年4月27日から行っているツアーで、京畿道庁がある水原市も10月に開催している「水原華城文化祭」の実質的な中止を決めるなど、京畿道を中心に行事の縮小や中止が相次いでいる。

「9・19平壌共同宣言」一周年記念式典も縮小して実施された。北朝鮮は2019年2月以降、韓国との対話や一切の要請に応じていない。韓国政府は単独で国境近くの坡州・都羅山(トラサン)駅一帯で平和行事を行う予定だったが、アフリカ豚コレラの影響から開催地をソウルに変更し、100人規模まで縮小した。

消毒と防疫を推進しても、感染源を断たない限り収束することはない。有効な対策は北朝鮮国内の消毒や環境改善と鴨緑江や豆満江など中朝国境の防疫で、南北協力は必須だが、北朝鮮側が応じる可能性は期待できない。国防部は非武装地帯(DMZ)にヘリコプターを投入し、10月4日から防疫作業を実施した。イノシシの越境を防ぐ以外に対策がないのである。

2017年の韓国人1人あたり豚肉消費量は24.5キログラムで、13.3キログラムの鶏肉や11.3キログラムの牛肉を大きく上回る。拡大防止に農林畜産食品部や国防部が取り組むいっぽうで、感染した豚は流通しないから危険はないということなのか今のところASFに対する市民の反応はあまり大きくはない。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

中国、来年はより積極的なマクロ政策推進へ 習主席が

ワールド

プーチン氏、来年のウクライナ緩衝地帯拡大を命令=ロ

ワールド

タイ、停戦合意に基づきカンボジア兵18人を解放

ビジネス

中国、来年の消費財下取りに89億ドル割り当て スマ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめる「腸を守る」3つの習慣とは?
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    「すでに気に入っている」...ジョージアの大臣が来日…
  • 5
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 6
    「サイエンス少年ではなかった」 テニス漬けの学生…
  • 7
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 8
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 9
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 10
    日本人の「休むと迷惑」という罪悪感は、義務教育が…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 8
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中