最新記事

韓国

韓国・文在寅政権、不支持率が上回ったことがわかる前日まで、GSOMIA延長が有力視されていた

2019年8月26日(月)18時30分
佐々木和義

米国が公式論評で「韓国」ではなく「文在寅政権」と呼ぶのは異例

そして、GSOMIAを延長しないという発表に、米国国務省と国防総省は「文在寅政権」への強い懸念と失望を表明する。米国が公式論評で「韓国」ではなく、「文在寅政権」と呼ぶのは異例のことだ。

破棄決定はスティーブン・ビーガン米国務省北朝鮮政策特別代表の訪韓中だったことから米国の了解を得たと見る向きもあったが、米国政府は明確に否定。米国の理解を得たという青瓦台の発表を「うそ(lie)」と断じた。

中国は人民日報が中国外務省の協定批判を紹介し、破棄決定を歓迎する意向を滲ませる。北朝鮮も国営通信を通じて協定破棄を求めていた。

韓国より日本が多くの恩恵を受けている?

GSOMIAに基づく情報交流は、日本政府が韓国向け輸出規制を発表した後も行われている。締結直後の2017年、北朝鮮が中長距離ミサイルを数回発射し、日韓両国は日本が有する着弾情報と韓国が有する発射情報を共有した。一方、2019年は短距離ミサイルを発射しており、韓国が日本に情報を提供する情報交流が主体で、韓国より日本が多くの恩恵を受けていると文政権が主張する根拠になっている。

いっぽう、事あるごとに南北協力を唱える文大統領に、北朝鮮は応じない姿勢を示している。現体制を維持する場合、文大統領の残りの任期は3年弱で、金正恩氏の首脳としての実質的任期はこれをはるかに上回る。協定や合意など約束事の破棄を繰り返す文大統領と協調する可能性は限りなくゼロに近い。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

米金利先物、9月利下げ確率60%に小幅上昇 PCE

ビジネス

ドル34年ぶり157円台へ上昇、日銀の現状維持や米

ワールド

米中外相会談、ロシア支援に米懸念表明 マイナス要因

ビジネス

米PCE価格指数、3月前月比+0.3%・前年比+2
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 5

    アカデミー賞監督の「英語スピーチ格差」を考える

  • 6

    大谷選手は被害者だけど「失格」...日本人の弱点は「…

  • 7

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 8

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 9

    「性的」批判を一蹴 ローリング・ストーンズMVで妖…

  • 10

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈する動画...「吹き飛ばされた」と遺族(ロシア報道)

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中