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マネーの主役は貨幣から人間へ──「マネー3.0」の時代

How to (Re) Make Money

2019年8月14日(水)16時00分
ガリア・ベナッツィ(分散型仮想通貨取引所バンコール共同創設者)

こうした実験が「仮想通貨化」という新しい領域でどんどん進んでいる。それは分散型の性質を持つから(つまり誰かが一元的に管理しているわけではないから)、仮想通貨化の流れを止めるのは非常に難しい。

そのうち芸術家や非営利団体、スタートアップ、学校、近隣住民などのための仮想通貨がいくつも誕生して、互いに運用可能な新しいネットワークを構築し、それまで局所的だった社会的な構造が、グローバルなオンライン(とオフライン)コミュニティーに組み込まれるだろう。

これがマネー3.0だ。それは人間のコラボレーションの在り方を永遠に変える。

経済学は「カネの科学」と考えられることが多いが、実は「インセンティブの科学」だ。カネは、私たちのさまざまな利益の価値を表現するツールにすぎない。だがそれは、その目的をあまり上手に果たせていない。カネで幸せや人と人のつながりを説明するのは難しいし、心や気持ちの問題を語るとき、カネが絡んでくることを不快に感じる人は少なくない。

つまるところ、カネは人間の発明物だ。私たちは今、人間のためにカネを作り直すことができる。カネのために、私たちを作り直すのではなく。

<本誌2019年8月13&20日号掲載>

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