最新記事

イラン、核査察に関する文書の批准を提案? 米国の制裁解除が条件

2019年7月19日(金)11時00分

イランは、米国がイランへの経済制裁を解除することを条件に、核開発に関して一段と踏み込んだ査察を可能にする文書の批准を提案した。写真はイランのザリフ外相。5月にモスクワで撮影(2019年 ロイター/Evgenia Novozhenina)

イランは18日、米国がイランへの経済制裁を解除することを条件に、核開発に関して一段と踏み込んだ査察を可能にする文書の批准を提案した。英紙ガーディアンが報じた。ただ、米国側はその意義について懐疑的な見方を示している。

イランの提案は「追加議定書」の早期批准に関するもので、国連査察団はイランの核関連活動が平和利用目的であることを検証するさらなる手段を得ることになる。

米政府当局者は、追加議定書の批准は何の役にも立たないと一蹴したが、それでも、トランプ米政権が外交的な対話を目指すきっかけになる可能性はある。

ガーディアンなどのメディアによると、イランのザリフ外相はニューヨークで記者団に「トランプ氏の要求が増えるならば、われわれは追加議定書の批准が可能で、トランプ氏は制裁が解除できる」と述べた。

ただ、イランは既に追加議定書を適用しており、過去に何度も批准を提案しているため、ザリフ外相の提案が譲歩と言えるのかは不明。

イランは2015年の核合意で、発効から8年後に追加議定書の批准を目指すことが義務付けられている。

一方、イランの提案についてある米政府当局者は「将来的に核兵器を開発する能力を維持しながらも、可能な限り制裁緩和を引き出すことがイランの本当の目的だ」と指摘。イランは「小さな行動」で大きな結果を引き出そうとしていると批判した。

別の米政府当局者は「イランが誠意を示したいと考えているなら、即時にウラン濃縮を停止し、実際の意思決定者に交渉を担わせ、核搭載可能なミサイルを含むイランの有害な核関連活動を恒久的に停止することを含む合意をまとめるべきだ」と語った。

[ワシントン 18日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 ガザの叫びを聞け
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月2日号(11月26日発売)は「ガザの叫びを聞け」特集。「天井なき監獄」を生きる若者たちがつづった10年の記録[PLUS]強硬中国のトリセツ

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

英財務相、予算案巡り誤解招いたとの批判退ける 野党

ワールド

トランプ氏、ホンジュラス前大統領を恩赦へ 麻薬密売

ワールド

OPECプラスが生産量据え置きを決定、27年以降の

ビジネス

野村HD、豪マッコーリーの米欧資産運用部門買収を完
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業界を様変わりさせたのは生成AIブームの大波
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    メーガン妃の写真が「ダイアナ妃のコスプレ」だと批判殺到...「悪意あるパクリ」か「言いがかり」か
  • 4
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 5
    「世界で最も平等な国」ノルウェーを支える「富裕税…
  • 6
    コンセントが足りない!...パナソニックが「四隅配置…
  • 7
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 8
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 9
    中国の「かんしゃく外交」に日本は屈するな──冷静に…
  • 10
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 4
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 5
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 6
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 7
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 8
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後…
  • 9
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 10
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中