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Appleを去るジョニー・アイブ──最高デザイン責任者が遺したものとは

2019年7月4日(木)19時30分
佐藤由紀子

Appleはここ数年、新しいカテゴリーの製品をほとんど出していない

アイブが得意とするのは、既にある完成度の低いジャンル(PC、オーディオプレーヤー、スマートフォン、スマートウォッチ)にユーザーインタフェースと美しさを両立させたデザインを施すことだ。

だが、Apple Watch後、Appleは新しいカテゴリーの製品をほとんど出していない。iPhone、iPad、Apple Watch、そしてMacやMacBookはそれぞれ定期的に新モデルが出てはいるものの、アイブの腕の見せ所は少なくなっているのではないだろうか。

ここ数年、アイブが最も情熱を傾けてきたのは故ジョブズから受け継いだ、Appleの新キャンパス「Apple Park」のデザインだった。そのキャンパスも5月に完成した。

アイブのデザインは自動運転車に採用されなかった?

Appleが今後、新しいカテゴリーの製品を出すとみられているジャンルは、自動運転車とAR(拡張現実)メガネだ。

アイブは自動車好きで知られており、若いころはカーデザイナーになる夢を持っていたくらいだ。Appleでも当然、自動運転車のデザインに着手していたと、The Information(有料記事)が報じている。

この記事によると、アイブがティム・クックCEOに見せた自動運転車のプロトタイプは、ステアリングホイールがなく、音声アシスタントの「Siri」で操作するものだったという。

Appleが自動運転車を開発中といううわさは2015年ごろからあるが、未だに具体的な発表はない。アイブのデザインは採用されなかったのかもしれない。

もう1つの新カテゴリーであるARメガネは、2012年にGoogleが「Google Glass」を発表した後は、あまり実用的な製品が出ておらず、まだ市場が整っていない。こうしたカテゴリーこそアイブの才能が生かされそうだが、今後社外からどこまでAppleに関わってくのか注目したいところだ。

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