最新記事

韓国事情

日本の不動産を買う韓国の資産家が増えている

2019年7月2日(火)17時00分
佐々木和義

スカイツリーからの東京の眺望 Issei Kato-REUTERS

<韓国では、国内景気の悪化が続く中、資産の目減りに不安を持つ資産家が、米国や日本の不動産を投資先として選択している......>

日本の不動産に投資する韓国の資産家が増えている。韓国企画財政部が集計した2018年の海外不動産直接投資は50億7800万ドルで、前年の37億6700万ドルから34.8%増加した。

海外不動産への投資は、機関投資家か個人投資家ではリートやファンドを通じた間接投資が主だったが、物件紹介から契約の事後管理まで一貫して支援を行う海外不動産投資諮問会社の登場で、海外不動産投資のハードルが低くなったのだ。そして、国内景気の悪化が続く中、資産の目減りに不安を持つ資産家が、米国や日本の不動産を投資先として選択している。

米国は海外移住を考える資産家に人気

2019年6月上旬にソウルのCOEX展示場で開催された不動産エキスポで最も人気を呼んだのは海外不動産投資で、日本、米国、オーストラリア、カナダに関心が集まった。

米国は海外移住を考える資産家に人気が高い。韓国の富裕層の子は海外に留学して、そのまま就職するケースが多く、資産家が国内にとどまる理由はない。留学を控えた子をもつ資産家は、トランプ大統領の反移民政策で就職移民が難しくなったことから本人はもとより配偶者や21歳以下の子が永住権を取得できる投資移民を検討する。

米国務省のデータによると、2018年度に投資移民ビザの発給を受けた韓国人は前年より336人多い531人で、中国、ベトナム、インドに続く4番目だった。また、カナダやシンガポールに注目する資産家もいる。移民要件は米国より厳しいが、相続税がない英語圏の国なのである。

日本は海外移住を伴わない投資先として人気

そして、日本は海外移住を伴わない投資先として人気が高い。高い収益を重視する投資家は著しい成長が続くベトナムやインドネシアに注目するが、保有資産が高額になるほど、安全性を重視するようになる。日本の不動産は大きく変動することはなく、安定した利回りを得ることができるのだ。

東京中央区で2018年12月に13億円のオフィスビルを仲介したビル資産管理会社は、2019年5月には住宅不動産の取引を仲介した。都内にある13億円のマンションと5戸2億円の新築マンションである。大阪の不動産会社も以前は中国からの問合せが多かったが、最近は韓国からの問い合わせが増えているという。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

元、対通貨バスケットで4年半ぶり安値 基準値は11

ビジネス

大企業の業況感は小動き、米関税の影響限定的=6月日

ワールド

NZ企業信頼感、第2四半期は改善 需要状況に格差=

ビジネス

米ホーム・デポ、特殊建材卸売りのGMSを43億ドル
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた発見の瞬間とは
  • 2
    普通に頼んだのに...マクドナルドから渡された「とんでもないモノ」に仰天
  • 3
    ワニに襲われ女性が死亡...カヌー転覆後に水中へ引きずり込まれる
  • 4
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 5
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 6
    「パイロットとCAが...」暴露動画が示した「機内での…
  • 7
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 8
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 9
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 10
    顧客の経営課題に寄り添う──「経営のプロ」の視点を…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 3
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門家が語る戦略爆撃機の「内側」と「実力」
  • 4
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 5
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 6
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた…
  • 7
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 8
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 9
    サブリナ・カーペンター、扇情的な衣装で「男性に奉…
  • 10
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 6
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 7
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 8
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 9
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中