最新記事

貿易戦争

「トランプに逆らうな」 カナダ国内、トルドー首相にNAFTA合意求める声高まる

2018年9月19日(水)11時04分

9月18日、北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉を巡り、カナダ国内ではトルドー首相(写真)に米国と合意するよう求める声が強まっている。オタワで17日撮影(2018年 ロイター/Chris Wattie)

北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉を巡り、カナダ国内ではトルドー首相に米国と合意するよう求める声が強まっている。

米国が合意期限とする10月1日が迫る中、カナダのフリーランド外相は19日にライトハイザー米通商代表部(USTR)代表とワシントンで協議を行うが、両者は依然として複数の分野で見解が異なっており、トルドー首相は必要なら交渉から退くとしている。

こうした中、カナダ国内では経済に対する打撃への懸念から、トルドー政権の交渉方針に対するこれまでの支持が低下する兆候が広がっている。米国はカナダの輸出の75%を占めるほか、トランプ大統領は自動車への関税を警告している。

カナダビジネス協議会(BCC)のトップを務めるジョン・マンリー元財務相は「元のNAFTAより良い条件が得られると思うのは妄想だ。何かを失うのは分かっていた」と述べた。

トランプ大統領は18日、記者団に対し、カナダが乳製品に設定している高関税を批判し、「カナダは長い間米国を利用してきた。米国はカナダに好意を持っているが、カナダが置かれている立場は良い状況ではない」と述べた。

カナダの自動車産業の中心であるオンタリオ州のダグ・フォード首相は19日にカナダの交渉担当者と面会し、懸念を伝える方針だ。オンタリオ州のジム・ウィルソン貿易相は「カナダの交渉担当者は合意を望んでいないのではないかといううわさがある。担当者に会い、合意が必要であることを訴える」と話した。

カナダ当局者はNAFTAからカナダを除外することを米議会が支持することはないとみている。

マンリー氏は、トルドー政権が米議会をあてにしていることにBCCの会員は懸念を強めているとし、「非常にリスクの高い戦略だ」と述べた。

米下院共和党のスティーブ・スカリス院内幹事は18日、カナダの交渉戦略に「多くの議員がいらだちを強めている」と指摘し、カナダがNAFTAから除外される可能性があるとの見方を示唆した。

[オタワ 18日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 世界も「老害」戦争
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年11月25日号(11月18日発売)は「世界も『老害』戦争」特集。アメリカやヨーロッパでも若者が高齢者の「犠牲」に

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米シカゴ連銀総裁、前倒しの過度の利下げに「不安」 

ワールド

IAEA、イランに濃縮ウラン巡る報告求める決議採択

ワールド

ゼレンスキー氏、米陸軍長官と和平案を協議 「共に取

ビジネス

12月FOMCでの利下げ見送り観測高まる、モルガン
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ成長株へ転生できたのか
  • 4
    ロシアはすでに戦争準備段階――ポーランド軍トップが…
  • 5
    幻の古代都市「7つの峡谷の町」...草原の遺跡から見…
  • 6
    アメリカの雇用低迷と景気の関係が変化した可能性
  • 7
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 8
    【クイズ】中国からの融資を「最も多く」受けている…
  • 9
    EUがロシアの凍結資産を使わない理由――ウクライナ勝…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中