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交渉の達人 金正恩

金桂冠は正しい、トランプは金正恩の術中にはまった

2018年5月23日(水)17時23分
フレッド・カプラン(スレート誌コラムニスト)

たとえボルトンの望みどおり、米朝首脳会談が中止に終わったとしても、南北の融和がここまで進んだ以上、トランプが再び北朝鮮に対して「炎と怒りを見るぞ」と脅すことはできない。アメリカがそんな態度に出ることは、韓国も望まないだろう。

こうしてトランプは罠にはまった。第1の失敗は、本物の「ディールメーカー」なら賭けをする前に必ずやる、形勢とリスクと相手の手の内を見極める作業を怠り、最高のディールをまとめる栄光を追い求めたこと。第2の失敗は、相手(貧しいならず者国家の、利口だが小粒な独裁者)がゲームの形とルールを決めるのを許したことだ。

今回の騒動で、米朝関係の主導権を握るのは金正恩であることが、これまでになくはっきりした。それは金桂冠の談話にも一貫して読み取れるメッセージだ。北朝鮮は核保有国であり、いかに壮大なざれ言を並べてもそれを変えることは誰にもできないのだ、と。

© 2018 The Slate Group

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