最新記事

米中関係

トランプ大統領、中国の貿易慣行調査へ通商法301条適用か

2017年8月2日(水)16時00分

 8月1日、トランプ米大統領は、中国の不公正な貿易慣行への対応を近く決定し、早ければ今週中に発表する可能性がある。米政権当局者が1日、匿名を条件に明らかにした。写真はホワイトハウスで7月撮影(2017年 ロイター/Joshua Roberts)

トランプ米大統領は、中国の不公正な貿易慣行への対応を近く決定し、早ければ今週中に発表する可能性がある。米政権当局者が1日、匿名を条件に明らかにした。

同当局者によると、トランプ大統領は1974年制定の通商法301条の下、ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表に中国の貿易慣行の調査を開始するよう促すことを検討している。

通商法301条は、諸外国の不公正な貿易慣行から自国の産業を保護するため、関税や貿易制限など一方的な制裁措置の導入を可能にする。

米国は、中国が鉄鋼製品のダンピング(不当廉売)や米知的財産権の侵害を行っているなどとして貿易慣行を批判している。

通商法301条はライトハイザー氏がUSTR次席代表だった1980年代に日本のオートバイや鉄鋼製品などの輸入に対して適用されたが、95年に世界貿易機関(WTO)が設立されて以降はほとんど使用されていない。

中国の外務省と商務省はともにコメントの求めに応じていない。

中国政府は先に、米中間の貿易は双方に恩恵を与えているとした上で、貿易関係の改善に向けた米政府との協力に前向きな姿勢を示している。

中国の李克強首相は1日、ミシガン州のスナイダー知事と北京で面会。中国政府の発表によると、李首相は「中国は、米国が二国間の貿易や投資を拡大し、両国の国民に対して雇用を創出するための協力的な合意をまとめることを歓迎する」と述べた。

一方、米国のロス商務長官は1日、米紙ウォールストリート・ジャーナルに寄稿し、「トランプ政権は自由で公正な貿易を信じ、保護主義に対抗するために利用できるあらゆる措置を講じる」と表明。輸出業界を助成し、輸入品に対して関税および非関税障壁を設定する中国と欧州は米国よりも保護主義的だとの考えを示した。

長官はまた、「中国は市場経済国ではない。中国政府は業界ごとに企業の集約を進め、市場を著しく歪める措置を講じている」と指摘。「そのような行為に貿易救済措置で応じるのは保護主義的ではない」とした。

[ワシントン 1日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2017トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

自工会会長、米関税「影響は依然大きい」 政府に議論

ワールド

中国人民銀、期間7日のリバースレポ金利据え置き 金

ワールド

EUのエネルギー輸入廃止加速計画の影響ない=ロシア

ワールド

米、IMFナンバー2に財務省のカッツ首席補佐官を推
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、日本では定番商品「天国のようなアレ」を販売へ
  • 2
    中国は「アメリカなしでも繁栄できる」と豪語するが...最新経済統計が示す、中国の「虚勢」の実態
  • 3
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ」感染爆発に対抗できる「100年前に忘れられた」治療法とは?
  • 4
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍…
  • 5
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 6
    【クイズ】世界で最も「リラックスできる都市」が発…
  • 7
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 8
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 9
    中国経済をむしばむ「内巻」現象とは?
  • 10
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサイルが命中、米政府「機密扱い」の衝撃映像が公開に
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 6
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「なんて無駄」「空飛ぶ宮殿...」パリス・ヒルトン、…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中