最新記事

アメリカ政治

米情報機関が人材流出やモラル低下の危機 トランプ政権との対立で

2017年3月1日(水)17時00分

2月28日、米国家安全保障局(NSA)は、大規模な組織再編や政権との関係悪化に対する懸念で、人材流出のリスクに直面している。NSAの現職当局者や元当局者、サイバーセキュリティー産業の情報筋が明らかにした。写真はベルリンで2013年5月撮影(2017年 ロイター/Pawel Kopczynski)

米国家安全保障局(NSA)は、大規模な組織再編や政権との関係悪化に対する懸念で、人材流出のリスクに直面している。NSAの現職当局者や元当局者、サイバーセキュリティー産業の情報筋が明らかにした。

サイバーセキュリテイー産業の数人の幹部によると、民間で職探しをする米情報当局者や政府の請負業者が、1月20日のトランプ氏就任以降、著しく増えている。

匿名を条件に語った幹部の1人は、採用候補者の経歴に驚いたと話した。また、複数の幹部によると、政府の情報機関や法執行機関出身者から応募があり、トランプ政権下での米情報当局の行く末に関する懸念も志望動機になっているという。

ロシアや中国、イランなどの国々や犯罪集団がサイバー攻撃に対する能力を高める中、有能な技術者の引き止めや採用はここ数年、国家安全の最優先課題。NSAなどの情報機関は、有能な職員の一部がシリコンバレーなどでのより高収入なポジションに転職するのを引き留めるのに苦労している。

当局者らによると、昨年、「NSA21」として呼ばれる組織再編に着手したNSAで問題は特に深刻だという。管理体制も刷新される再編により、経験豊富な職員らが任務や将来への見通しに不安を抱いているという。

NSAの元幹部職員によると、現職の職員3人が予算の問題で昇進が望めないと話していたという。また、現職の職員と頻繁なやり取りがあるNSAの元幹部職員は、「モラルの低下」を指摘した。

NSAなどの当局からの人材流出について尋ねられたホワイトハウスのアントン報道官は、トランプ氏が中央情報局(CIA)本部を訪問し、情報機関の懸念払しょくを図る意向だと語った。

[ワシントン 28日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

日中双方と協力可能、バランス取る必要=米国務長官

ビジネス

マスク氏のテスラ巨額報酬復活、デラウェア州最高裁が

ワールド

米、シリアでIS拠点に大規模空爆 米兵士殺害に報復

ワールド

エプスタイン文書公開、クリントン元大統領の写真など
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦い」...ドラマ化に漕ぎ着けるための「2つの秘策」とは?
  • 4
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 5
    中国最強空母「福建」の台湾海峡通過は、第一列島線…
  • 6
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 7
    おこめ券、なぜここまで評判悪い? 「利益誘導」「ム…
  • 8
    ゆっくりと傾いて、崩壊は一瞬...高さ35mの「自由の…
  • 9
    ロシア、北朝鮮兵への報酬「不払い」疑惑...金正恩が…
  • 10
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中