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選挙の当落を左右する!? 味わい深き「疑問票」の世界

2016年6月14日(火)19時04分
長嶺超輝(ライター)

 ひょっとすると、「自分も疑問票を投じてみたい」と考えた人がいるかもしれない。だが、わざと愉快犯的に、微妙な疑問票を作ることは決しておすすめしない。ただでさえ大変な開票作業をむやみに妨害することでもあるし、それが無効票となってしまえば、結局なんの実りも得られない。

 ひとりの有権者として、日本の政治を託したい候補者名や政党名を、落ち着いて、投票用紙へ正確に鉛筆で刻み込んでほしい。疑問票は、あわてんぼうで憎めない一部の有権者だけが生み出していれば十分だ。

諸外国ではどうか?

 最後に、自書式でない諸外国の選挙についても紹介しておきたい。記号式投票では疑問票が生まれないのか......というと、実はそんなことはない。

 たとえば、パンチカード式の記号式投票では、支持する候補者名のそばに道具を使って穴を空ける。この場合、パンチカードの穴から紙片が完全に抜け落ちなかったり、穴が貫通せずに紙がくぼんだだけの票が投票箱の中に混じったりすることがあり、それらが疑問票として扱われるのである。

 ちなみに、この種の疑問票は「えくぼ票」(dimple vote)と呼ばれるらしい。それはそれで味わい深い。

[筆者]
長嶺超輝(ながみね・まさき)
ライター。法律や裁判などについてわかりやすく書くことを得意とする。1975年、長崎生まれ。3歳から熊本で育つ。九州大学法学部卒業後、弁護士を目指すも、司法試験に7年連続で不合格を喫した。2007年に刊行し、30万部超のベストセラーとなった『裁判官の爆笑お言葉集』(幻冬舎新書)の他、著書11冊。最新刊に『東京ガールズ選挙(エレクション)――こじらせ系女子高生が生徒会長を目指したら』(ユーキャン・自由国民社)。ブログ「Theみねラル!」

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