最新記事

アメリカ社会

ミシシッピ州で「反LGBT法」成立、広範な差別が合法に

宗教を理由に性的少数者への差別を正当化する法律が成立、人権が退行しかねない

2016年4月6日(水)18時03分
ルーシー・ウェストコット

差別か反差別か 新法は州民を差別から守るためのものだと主張するミシシッピ州のフィル・ブライアント知事 Mike Blake-REUTERS

 米ミシシッピ州のフィル・ブライアント知事は4月5日、州内の事業者がLGBT(性的少数者)へのサービス提供を拒否できるようにする法案に署名し、法律として成立させたことをツイートした。

 ブライアントによれば下院法案1523号は、「民間団体や組織、個人の真摯な宗教的信念、道徳的信条を、州政府機関による差別から守るため」のもの。

 だがLGBTの権利擁護団体ヒューマン・ライツ・キャンペーンによれば、この新法により個人・団体は、宗教を理由にLGBTなどへの差別を正当化できるようになる。さらには、里親がLGBTの子供を「転向セラピー」に送り込むことも可能だ。転向セラピーとは、ゲイやレズビアンを異性愛者に転向させようとするための心理療法で、州によっては違法とされている。

【参考記事】性的指向を矯正する転向療法の終焉?

 下院法案1523号は、「結婚は男性と女性の結合(ユニオン)であり」、性交渉は「そのような結婚のために適切になされるもの」と信じる人々を守るための法案なので、ひとり親への差別すらも合法にしてしまうと、米自由人権協会(ACLU)は批判している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米ロ首脳が電話会談、ウクライナ早期停戦巡り協議 ロ

ビジネス

米6月雇用、14.7万人増と予想上回る 民間部門は

ビジネス

NY外為市場=ドル上昇、米雇用好調で7月利下げ観測

ワールド

米政権、次期FRB議長探しに注力 「多くの優秀な候
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 2
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 3
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 4
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 5
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 6
    ワニに襲われた直後の「現場映像」に緊張走る...捜索…
  • 7
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 8
    吉野家がぶちあげた「ラーメンで世界一」は茨の道だ…
  • 9
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた…
  • 10
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 1
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 2
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた発見の瞬間とは
  • 3
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 4
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 5
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 6
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 7
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 8
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギ…
  • 9
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 10
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 7
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 8
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 9
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 10
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中