最新記事

爆買い

中国人旅行客の高級品購入、3月は24%減 欧州市場で落ち込む

中国の景気減速に加え、パリとブリュッセルのテロの影響で欧州での消費が急減

2016年4月18日(月)19時38分

4月15日、付加価値税(VAT)の還付業務を手掛けるグローバルブルーは、海外における中国人旅行客の3月の高級品購入額が前年同月比24%減少したと発表した。写真は香港で2015年3月撮影(2016年 ロイター/Bobby Yip)

 付加価値税(VAT)の還付業務を手掛けるグローバルブルーは15日、海外における中国人旅行客の3月の高級品購入額が前年同月比24%減少したと発表した。月間ベースでの減少は統計を取り始めた2010年以来初めてで、過去最大という。

 パリとブリュッセルで起きた連続爆破攻撃を受け、欧州を訪れる中国人旅行客が減少し、同地での消費額が35%急減したことが背景。逆に、欧州との価格差の縮小が中国国内での支出を押し上げた。

 バークレイズのアナリストらは「価格比較が厳しくなる一方、同時多発攻撃や生体情報(バイオメトリクス)ビザの導入もあり、欧州での落ち込みにつながった。ただ、中国人による消費の全体的な伸びは世界的に減速しており、引き続き懸念される」と指摘した。

 グローバルブルーがまとめたデータによると、旅行者全体の3月の高級品購入額は14%減少した。2月は4%増だった。数値には、VATの還付制度がない米国、香港、ドバイでの購入額は含まれていない。

 高級ブランドのLVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)と、バーバリーは先週、旅行者による消費が欧州大陸で減少していると発表している。

 カルティエやルイ・ヴィトンなど一部ブランド大手にとって、特定の欧州市場では、海外からの旅行客が顧客の半分以上を占める。

 世界の高級品市場での中国人による消費は全体の3分の1近くに上る。

 LVMHは、ブリュッセルとパリでの連続攻撃の後、「東洋(ロシアとアジア)から」欧州を訪れる旅行者の数が減少していると指摘。バーバリーは市場環境が厳しく、今後1年の収益に影響が出ると予想した。

  

[パリ 15日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

オープンAI、グーグル半導体を使用 初の非エヌビデ

ビジネス

エヌビディア関係者、過去1年に10億ドル超の株式売

ワールド

米税制・歳出法案、上院で前進 数日内に可決も

ワールド

G7、国際最低課税から米企業除外で合意 「報復税」
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本のCEO
特集:世界が尊敬する日本のCEO
2025年7月 1日号(6/24発売)

不屈のIT投資家、観光ニッポンの牽引役、アパレルの覇者......その哲学と発想と行動力で輝く日本の経営者たち

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 2
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影してみると...意外な正体に、悲しみと称賛が広がる
  • 3
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急所」とは
  • 4
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 5
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 6
    キャサリン妃の「大人キュート」18選...ファッション…
  • 7
    ロシア人にとっての「最大の敵国」、意外な1位は? …
  • 8
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝…
  • 9
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 10
    「水面付近に大群」「1匹でもパニックなのに...」カ…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々と撤退へ
  • 3
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 4
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 5
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 6
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 7
    飛行機内で「最悪の行為」をしている女性客...「あり…
  • 8
    サブリナ・カーペンター、扇情的な衣装で「男性に奉…
  • 9
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 10
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 6
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 7
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 8
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 9
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中