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新冷戦

ロシアのウクライナ侵攻準備、その決定的証拠

2015年6月5日(金)12時00分
ダミアン・シャルコフ

 皮肉なことに、今回の報告書にはロシア側から発せられた情報も貴重な証拠として提示されている。ウクライナの国境地帯に残る爆撃跡を捉えたロシア国営放送の映像を基にした分析結果を見ると、ロシア側から209発もの迫撃砲が撃ち込まれていたことも確認された。

 報告書の執筆者の1人であるジョン・ハーブスト元駐ウクライナ米大使は、「誰でも利用できるオープンソースとGPSの位置情報によって、相当規模のロシア軍がウクライナ国境付近に集結していることが示された」と説明し、ロシア政府による軍事介入が事実であることを指摘した。「ウクライナでは今なお、同国人同士の戦闘が続いていると思われているが、それは間違いだ」

 ロシアによるウクライナ侵攻はロシア政府のプロパガンダによって隠蔽されることも多い。今回の報告書はそうした行為に大きな歯止めをかける効果も狙っている、とハーブストは言う。「ロシア語も含めて、複数の言語で私たちの所見を発表していきたい」

 これまでの嘘を暴かれたプーチン。どこまでしらを切り続けるつもりなのだろうか。

[2015年6月 9日号掲載]

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