最新記事

中東

イスラエル総選挙でアラブ系統一会派が歴史的躍進

アラブ系統一会派「ジョイントリスト」が初めてクネセト(イスラエル国会)の第3勢力に

2015年3月18日(水)15時29分
コール・スタングラー

歴史的快挙 出口調査の結果を受けてアラブ系統一会派の躍進を祝う支持者たち Ammar Awad-Reuters

 イスラエルのアラブ系政党や極左政党などが加わった前例のない統一会派が、総選挙後の第3の政治勢力に躍進する勢いだ。

 17日に投開票が実施されたイスラエル総選挙では、アラブ系、ユダヤ系双方の左派運動家、パレスチナ民族主義者などが初めて手を組んだアラブ系主体の「ジョイントリスト」が、出口調査の結果、13議席を獲得する見通しとなった。

 ネタニヤフ首相が率いる右派の与党「リクード」と、中道左派の野党「シオニストユニオン」はそれぞれ28議席と27議席を獲得し接戦を演じている。ネタニヤフはすでに勝利を宣言し、他の政党との連立交渉に入った。

 ジョイントリストは、仮にシオニストユニオンが選挙に勝利したとしても、連立政権には加わらないと主張している。ジョイントリストが結成された理由は、総選挙で最低3.25%を得票しないと議席が得られないよう規定が改訂されたことが大きい。アラブ系や極左の小政党は、規定の得票率に達せず1議席も得られないおそれがあった。

「人種差別、ファシズム、右派に対抗する統一会派だ」と、テルアビブ大学の学生でジョイントリスト支持者のタレク・アワドはアルジャジーラに答えている。「アラブ系とユダヤ系の平等を求め、女性の権利を促進させる。平和と民主主義の政党だ」

 ジョイントリスト躍進の背景には、アラブ系住民が多数を占める地域で投票率が上昇したことがある。与党リクードはこれに対抗し、アラブ系への恐怖を煽るキャンペーンを展開していた。投票前日にフェイスブックに投稿した動画では、「われわれの支配が危機に直面している。アラブ系が大挙して投票所に向かっている」

 投票後、ジョイントリストのリーダー、アイマン・オデは「歴史的瞬間」を祝福し、「ネタニヤフの連立政権樹立を阻止する」と約束した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

インド貿易赤字、5月は縮小 輸入が減少

ワールド

イラン、NPT脱退法案を国会で準備中 決定はまだ

ワールド

米上院議員が戦争権限決議案、トランプ氏のイラン軍事

ビジネス

NTTドコモ、 CARTAHDにTOB 親会社の電
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 8
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 9
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 10
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 5
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 9
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中