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ベネズエラ

チャベスの後継者はチャベスよりずっと強権的

2014年3月6日(木)13時27分
ウィリアム・ドブソン(スレート誌政治・外交担当エディター)

 昨年4月にマドゥロが僅差で大統領選に勝利して以来、専門家たちはチャベス流の虚勢と気まぐれがさらに極端になる可能性があるとして、その政権運営を危ぶんできた。経済の悪化に歯止めがかからない状況ではなおさらだ。

 抗議デモが広がった背景には国民の経済的困窮がある。豊かな石油資源を誇るベネズエラは今や60%近いインフレに見舞われている。食料や日用品、医薬品の不足には国民はもはや慣れっこだが、昨年末から物資不足が一段と深刻化した。政府でさえ生活必需品の25%が品薄だと認めている(実際にはもっと深刻だということだ)。

 19日の衝突は、89年のカラカス暴動以来の激しい騒乱となった。混乱の最中に市民を震え上がらせたのはコレクティボスだ。暴走族並みにバイクを飛ばして各地に乗り込み、集団で暴れ回る。政府の後ろ盾を得た彼らは、何をしても罪に問われない。

 チャベスは自分の強権支配を認めなければ、この国は内戦に陥ると、たびたび国民に脅しをかけてきた。「特権階級が再び政権を握ったら......革命政権と民衆を守るために戦車を出動させる」と宣言したこともある。

 チャベスのこうした強硬発言はしたたかな戦略だった。マドゥロの強硬姿勢には弱さが透けて見える。

© 2014, Slate

[2014年3月 4日号掲載]

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