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ハマス創始者の息子がイスラエルのスパイに

2010年3月10日(水)17時03分
マット・ベイノン・リース

 子供が後を継いでくれないと嘆く親は多いが、その程度の失望ならましと思うべきだ。パレスチナの過激派ハマスの創始者の1人、ハッサン・ユーセフの場合は息子がキリスト教に改宗し、イスラエル側のスパイになったのだから。

 息子のモサブ・ハッサン・ユーセフ(32)は、先週出版した自叙伝で自分の人生を暴露した。出版前にイスラエル紙ハーレツに語った内容によると、モサブはインティファーダ(反イスラエル闘争)の最中、イスラエルの国内治安機関シンベトの諜報員としてハマスの情報を流していたという。

 父ハッサンは現在、イスラエルの刑務所で6年間の服役中。モサブは比較的穏健とされていた父親がハマスの上層部を代表していないと気付いたとき、ハマスに背を向けたと語っている。ハマス上層部は自滅的な憎しみで腐り果て、パレスチナの人々に害を及ぼしていると考えたという。

 モサブによれば、父親は獄中でモサブの改宗を知り、ひどく衝撃を受けたものの、息子を勘当はしなかった。勘当すれば、息子の暗殺を承認したと見なされるからだ。

 ハーレツ紙が引用している複数の情報源は、モサブが得た情報が多くの自爆テロを防ぎ、イスラエル人の命を救ったと語っている。

*グローバル・ポスト特約
GlobalPost.com

[2010年3月17日号掲載]

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