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同性愛

中国ゲイの祭典に当局ピリピリ

2009年6月23日(火)15時33分
ダンカン・ヒューイット(上海支局)、メリンダ・リウ(北京支局長)

イベント出演前の女装パフォーマー(6月13日、上海) Nir Elias-Reuters

 6月7日、上海で中国初の同性愛者のイベントが始まった。市民運動のたぐいを毛嫌いしている中国政府も、このイベントは大目に見るだろうと主催者側は踏んでいた。なぜならば最近は、政治絡みでない限り個人レベルの表現への締め付けが緩やかになっているからだ。

 儒教も同性愛を禁じていない。政府系の英字紙チャイナ・デイリーも「中国と世界にとって深い意味を持つ」イベントだとたたえた。

 ところが直前になって当局の介入が始まった。もともと主催者側は、公道でのパレードは挑発的過ぎるとして行わず、映画の上映会や集会を開くだけにするつもりだった。しかし当局は「会場が必要な許可を取っていない」との理由から映画2本の上映と芝居の上演を禁止。違法なパフォーマンスを行ってはならないと警告も出した。

 こうした嫌がらせの裏には「寝室で何をしようと構わないが、表に持ち出して社会問題にはするな」という当局のメッセージが込められている。公権力で制御できない市民の行動に対し、中国政府がいかに神経をとがらせているかも見て取れる出来事だった。

 中国のゲイが大手を振って外を歩ける日はまだ当分来ないだろう。

[2009年6月24日号掲載]

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