最新記事

BOOKS

「ロマコメの神様」ノーラ・エフロンが女性たちに届けたかったメッセージとは?...「人生は全てネタの材料」

Falling for Romance

2024年12月31日(火)10時20分
デービッド・チウ(ライター)

newsweekjp_20241226115730.jpg

「永遠のカリスマ」エフロンの恋愛観や人生観を反映したせりふは今も女性たちの心に響く PARAMOUNT PICTURES/COURTESY EVERETT COLLECTION


 

私生活も作品の題材に

この新著には、エフロンと一緒に仕事をした人たちが語った公私の思い出も紹介されている。「何をするときも激しい情熱を傾け、完璧を追求した」と、俳優のヘザー・バーンズは振り返る。

エフロンの完璧主義者ぶりについては、ほかの人たちも証言している。映画プロデューサーのローレン・シュラー・ドナーはエフロンからこう言われたことを覚えているという

「四角いテーブルは使わないで。丸テーブルのほうが会話が弾むから」

「周囲の人たちの話を聞く限り、とても気難しい人だった」と、カプランは言う。「でも、女性映画監督の草分けとして、そして臆することなく本当のことを描いた脚本家として、軽く見られないためにいつも強い心を持ち、自分のやり方を貫く必要があったのだろうと思う」

62年に本誌「ニューズウィーク」英語版で働いていたこともあるエフロンは、「人生は全てネタの材料」という言葉で知られている。この言葉はエフロンのキャリアを貫く指針だった。

「人生で経験することは全て、いいことも悪いことも、愉快なことも悲しいこともことごとく、なんらかの形で将来の作品のネタになるとエフロンは考えていた」と、カプランは説明する。

カプランによれば、その典型が『心みだれて』だ。83年にエフロンが小説として発表し、その3年後にメリル・ストリープとジャック・ニコルソンの主演で映画化した作品である。

「フィクションの要素も織り込まれているけれど、エフロン自身が(ウォーターゲート事件を報じた元ワシントン・ポスト紙記者の)カール・バーンスタインとの結婚生活で経験したこと、特にバーンスタインの不倫を忠実に描いている」と、カプランは言う。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

COP30が閉幕、災害対策資金3倍に 脱化石燃料に

ワールド

G20首脳会議が開幕、米国抜きで首脳宣言採択 トラ

ワールド

アングル:富の世襲続くイタリア、低い相続税が「特権

ワールド

アングル:石炭依存の東南アジア、長期電力購入契約が
あわせて読みたい

RANKING

  • 1

    むしろ足止め歓迎! 世界の風変わり空港9選

  • 2

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 3

    女性の胎内で育てる必要はなくなる? ロボットが胚…

  • 4

    2100年に人間の姿はこうなる? 3Dイメージが公開

  • 5

    ハリウッド大注目の映画監督「HIKARI」とは? 「アイ…

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    2100年に人間の姿はこうなる? 3Dイメージが公開

  • 3

    むしろ足止め歓迎! 世界の風変わり空港9選

  • 4

    ハリウッド大注目の映画監督「HIKARI」とは? 「アイ…

  • 5

    女性の胎内で育てる必要はなくなる? ロボットが胚…

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    加工した自撮り写真のように整形したい......インス…

  • 3

    2100年に人間の姿はこうなる? 3Dイメージが公開

  • 4

    ハリウッド大注目の映画監督「HIKARI」とは? 「アイ…

  • 5

    やはり「泣かせた」のはキャサリン妃でなく、メーガ…

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:世界も「老害」戦争

特集:世界も「老害」戦争

2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に