最新記事

海外ドラマ

「戦うバービー」ではないドラマ『ブラザーズ・サン』のリアル...「こんな女たちが見たかった!」

Putting Women Front and Center

2024年02月25日(日)10時15分
チェイナ・ロス(スレート誌シニアプロデューサー)
ミシェル・ヨー扮する「アイリーン・ママ・サン」とチャールズを演じるジャスティン・チエン

アイリーンはチャールズと共に家族を守ると決意 MICHAEL DESMOND/NETFLIX

<筋金入りの「男の世界」に花を添えるだけじゃない。マフィア社会で女が「主役」の斬新なアクションコメディーに「やればできる!」と嫌味の1つでも言いたくなる出来映え>

映画やドラマのアクションものの世界は女性に厳しい。女性キャラのパターンは大抵2つ。1つは殺されたり拉致されたりして男を復讐や救出に駆り立てるパターン。

もう1つはタイトなジーンズに肌もあらわなトップスで、髪を振り乱して悪党どもの急所を蹴り上げるパターンだ。役どころといえば死ぬかイケメンを追いかけるかで、中身もなければ現実の人間が口にしそうなリアルなせりふもない。

それでもたまに、そうではない作品に出くわす。ネットフリックスで独占配信中の『ブラザーズ・サン』もその1つ。世界各地で女性たちが「遂にこの日が! やればできるじゃない」と嫌みの1つも言いたくなりそうな待望久しい作品だ。

本作は一見、典型的なアクションコメディーだ。幼い頃に生き別れた兄弟2人のうち、1人は台北の犯罪組織トライアドのボスである父親のもとで育った殺し屋。

もう1人はロサンゼルスで母親に育てられた医学部の学生だ。どちらとは言わないが、1人はまぬけで役立たず、もう1人は冷徹でいつもいら立っている。

ある日父親が狙撃され、殺し屋のチャールズ(ジャスティン・チエン)は母親のアイリーンと弟ブルース(サム・ソン・リー)を守るため、ロサンゼルスにやって来る。これが騒動の始まりで......。

男社会での激しいアクションが大部分を占め、コメディーも満載。それでも本作が他のアクションコメディーと違うのは、プロットの大部分を動かしているのが女たちだということだ。

彼女たちは典型的な男中心のアクションドラマ(『ジャック・ライアン』『ジャック・リーチャー』『シール・チーム』『ストライク・バック』などのシリーズ)の女性とは違う。

いくらかましな作品(『探偵レミントン・スティール』『チャック』、映画『ゲット スマート』など)に登場する女性たちは頭がよくて主人公の男たちにあきれているが、「助手」にすぎないことに変わりはない。

「欲しいもの」のために

一方、本作の女たちは違う。第1話ではでこぼこ兄弟コンビが主役かと思いきや、その後のエピソードでミシェル・ヨー扮するアイリーン・ “ママ” ・サンがシャワーキャップをかぶり、ドリルを取り出して死体を始末する。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

エヌビディア決算にハイテク株の手掛かり求める展開に

ビジネス

トランプ氏、8月下旬から少なくとも8200万ドルの

ビジネス

クーグラー元FRB理事、辞任前に倫理規定に抵触する

ビジネス

米ヘッジファンド、7─9月期にマグニフィセント7へ
あわせて読みたい

RANKING

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    人肉食の被害者になる寸前に脱出した少年、14年ぶり…

  • 3

    女性の胎内で育てる必要はなくなる? ロボットが胚…

  • 4

    加工した自撮り写真のように整形したい......インス…

  • 5

    2100年に人間の姿はこうなる? 3Dイメージが公開

  • 1

    加工した自撮り写真のように整形したい......インス…

  • 2

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 3

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

  • 4

    2100年に人間の姿はこうなる? 3Dイメージが公開

  • 5

    人肉食の被害者になる寸前に脱出した少年、14年ぶり…

  • 1

    「エプスタインに襲われた過去」と向き合って声を上…

  • 2

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 3

    加工した自撮り写真のように整形したい......インス…

  • 4

    やはり「泣かせた」のはキャサリン妃でなく、メーガ…

  • 5

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:世界最高の投手

特集:世界最高の投手

2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍