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才能・特技がないのは子どもの責任? 後天的な「天才」を育てる秘訣

2022年07月19日(火)17時20分
船津徹

アメリカでは一般に「IQ130以上」の子どもが、先天的に高い知能を持つ「ギフテッド」に分類され、学校教育で特別なカリキュラムを受けることができます。割合的には学齢期の子どもの「6%程度」と言われています。

ギフテッドに認定されなければ、我が子は一生平凡かと言えば、そんなことはありません。こちらも私の経験からですが、上位6%レベルの学力であれば、平均的な知能の子どもであっても、適切な教育指導や本人の努力によって「後天的に」習得することは十分可能です。

私は、学力世界トップ1%以上と言われるアメリカの最難関大学に飛び級で合格してしまうような「本物の天才」も、努力によってギフテッドレベルの学力を獲得した「後天的な天才」も間近に見てきましたが、両者の差は歴然です。

生まれつき圧倒的に秀でている「本物の天才(IQ160以上)」は、写真記憶に代表されるような「ずば抜けた素質」を持っています。何をやらせても技能の習得スピードが尋常でなく早いのです。このような本物の天才は、ギフテッドの中でもわずかひと握りであり、あるデータによると人口の「0.003%程度」と推察されています。

何が言いたのかというと、先天的にずば抜けた才能を有する子どもよりも、努力によって後天的に能力を開花させ、結果として「天才」と呼ばれるようになった人のほうがはるかに多いのではないか?ということです。

才能がない、特技がないのは、子どもの責任なのか?

私のもとにも、日々「うちの子には才能がない」「うちの子には特技がない」と悩みが寄せられますが、問題の本質は「子どものあり方」ではないと私は考えています。

この世に特性のない子など、ただの一人もいません。誰もが輝かせるべき特性の芽を持って生まれてきます。他の子どもとは違ったところ、目立っているところ、興味や関心の強いこと、必ず一つ以上は持っています。

しかし、親がその「特性の芽」に気づいていない、あるいは、子どもの本当の特性を無視した教育や環境を与え続けていると、子どもは自分らしさをどんどん失っていくのです。

親の行動次第で、どんな子どもも(得意分野で)天才になれますし、どれだけ才能がある子どもでも、親があり方を間違えれば自己肯定感が低く、やる気の小さい子どもにも育ってしまいます。「パッとしない」「平凡」と言われながら育った子どもは、当然ながら自分の特性にふたをし、そのとおりの子どもになってしまうのです。

では、優秀な子どもを育てる家庭では、どんなことをしているのかというと、そこには、驚くほどの共通点があります。不思議なことに、住む国や地域、親の経済力や学歴などは関係ありません。

たとえば、

・勉強しなさいと言わない
・どんな小さなことも、子どもに選択させている
・子どもに「考えさせる質問」を多くしている
・ボードゲームやカードゲームでよく遊んでいる

などといったことです。

実はこれらは、科学的に見ても理にかなっていることであり、なぜいいかという理由も明確にあるのです。

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