最新記事

夫婦

カップル・セラピストが見た、関係修復に失敗する夫婦「3つのパターン」

Why Couples Therapy Can Fail

2021年09月23日(木)09時32分
スーザン・ピーズ・ガドア(心理カウンセラー)
スーザン・ピーズ・ガドア

ゴールはそれぞれ 終わらせるべき関係とそうでない関係があるとガドアは語る COURTESY SUSAN PEASE GADOUA

<25年にわたってカップルを見つめ続けた私が見つけた、関係修復がうまくいかない3つの理由とその対処法>

私はカリフォルニア州在住のカップル・セラピスト。同性・異性を問わず夫婦や恋人関係のもつれをほぐすのが仕事だ。いろんな人が相談に来る。さあ問題を解決しようと腕まくりして来るカップルもいれば、けんか腰で腕まくりのカップルもいる。

問題はさまざまだが、よくあるのは浮気や不倫の発覚、薬物やアルコールへの依存、そして一方が別れたがっているケース。こうした問題の底に何らかのトラウマが潜む場合も、こうした問題が新たなトラウマになる場合もある。

いい例が昨年来の新型コロナウイルスの感染爆発(に伴う生活の変化)だ。自宅で一緒に過ごす時間が増えて、今までくすぶっていた問題に火が付き、関係の継続に赤信号が点滅し始める。

この仕事を始めて25年、つくづく思い知らされたのは、セラピーが効かないケースも多々あるということ。その理由は主として3つ。

相談者の双方または一方がセラピーに期待していない場合、双方または一方の気持ちが既に離れている場合、そして双方が問題の核心に気付いていない場合だ(これには双方または一方にトラウマが残っているのに、それに気付いていないケースが含まれる)。

関係改善に積極的なのは女性

異性カップルの場合、セラピーを通じた関係改善に積極的なのは、たいてい女性の側だ。夫はセラピー中こそ協力的な姿勢を見せるが、家庭に戻ると今までどおり。これでは改善は見込めない。

気持ちが既に離れている場合とは、一方の薬物依存やショッピング依存が強過ぎる場合や、不倫相手への思いが強過ぎる場合を指す。

問題は3つ目、問題の核心に気付いていないケースだ。トラウマは心の奥深くに潜むので、対話型のセラピーだけでは解決しにくい。

ローズマリーとジムの夫婦の場合は、昨年のロックダウン(都市封鎖)がきっかけで関係が完全に行き詰まった。子供たちも含めた巣籠もり生活に耐え切れず、ローズマリーはパニックに陥った。しかし、その背景には過干渉の母親の下で育った時期のトラウマがあった。

カリフォルニア州が外出禁止令を出してすぐ、ローズマリーはジムに離婚したいと伝えた。すると今度は、幼い頃父親に虐待されていたジムのトラウマがよみがえった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:中朝の蜜月、「非核化」巡り隙間風 ちらつ

ワールド

焦点:中国、アフリカで経済活動再び活発化 一方的関

ビジネス

バーゼル3、米次第でEUは一部実施遅らせるべき=仏

ビジネス

EU中国関係、欧州経営者の半数以上が悪化予想 デリ
今、あなたにオススメ

RANKING

  • 1

    「なぜ彼と結婚したか分かるでしょ?」...メーガン妃…

  • 2

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 3

    エリザベス女王が「誰にも言えなかった」...メーガン…

  • 4

    カミラ王妃が「メーガン妃の結婚」について語ったこ…

  • 5

    メーガン妃に向けられたキャサリン妃の「冷たすぎる…

  • 1

    「なぜ彼と結婚したか分かるでしょ?」...メーガン妃…

  • 2

    カミラ王妃が「メーガン妃の結婚」について語ったこ…

  • 3

    エリザベス女王が「誰にも言えなかった」...メーガン…

  • 4

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 5

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 2

    「なぜ彼と結婚したか分かるでしょ?」...メーガン妃…

  • 3

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の…

  • 4

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 5

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:イラン大統領墜落死の衝撃

特集:イラン大統領墜落死の衝撃

2024年6月 4日号(5/28発売)

強硬派・ライシ大統領の突然の死はイスラム神権政治と中東の戦争をこう変える