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シリア

収容キャンプで暮らす「イスラム国」女性たちのスレッドの意外な内容

After Religious Fervor

2021年07月21日(水)18時22分
ベラ・ミロノバ(ハーバード大学客員研究員)

金銭にまつわる不正を糾弾する投稿もある。実は、キャンプの女性たちは、外国にいるIS幹部や支持者から資金援助を受けている。この資金をひそかに受け取り、全員に分配する役割の女性たちが、不当に多くの金額を自分の懐に入れているというのだ。

キャンプの外から資金が入ってくるというデリケートな問題だけに、本来ならグループチャットで話題にするべきではないのだが、みな、自分が手にするお金が関わっているだけに、感情的な投稿が相次ぎ炎上することが多い。

だが、女性たちはチャットを通じてお互いを助け合うこともある。例えば、キャンプを管理するクルド兵がパトロールに来ると、その位置をリアルタイムに教え合って電話を隠す。外国の政府関係者やジャーナリストが訪問しているときは、どんな質問をされたかをシェアする。

キャンプ内では窃盗などの犯罪も多い。少年グループが夜中にテントに忍び込み、金品を盗んでいくのだ。自衛のために、何人かで警備員を雇おうと呼び掛ける女性もいる。捕まえた犯人をどうするかという話し合いまでされる。

イスラムの教えを厳格に守っている女性の中には、テントでリラックスしている姿を少年たちに見られたことを問題視し、寝ているときもヒジャブを着けるべきだと主張する人もいた。

市場原理が宗教に勝利した

ISの思想が抜けない人の間では、欧米で恐ろしい事件(カリフォルニア州での山火事など)が起こると、天罰だとばかりに喜びの声が上がる。フランスの中学校で、ムハンマドの風刺画問題を取り上げた教師が斬首される事件が起こったときも、実行犯であるチェチェン人を「誇りに思う」という投稿が見られた。

ただ、このように宗教的に過激な見解は、以前ほど多くの賛同を得られなくなった。子育てに関するグループチャットでも、宗教的な助言は無視されたり、「実用的なアドバイスではない」と冷たくあしらわれることもある。

最も醜い議論になりがちなのは、キャンプで許される女性の服装や、男性作業員との交流、帰国、そして特定のISメンバーが真にイスラム的か否かといったことだ。こうした話題になると、議論に収拾がつかなくなり、スレッドそのものを削除しなければならなくなることもある。

かつては、「売ります・買います」スレッドも、IS支持派と、そうでないキャンプ住民向けに分けられていた時期があった。だが、「いいものを、いい値段で買いたなら、大きな市場に行ったほうがいい」という経済原理がイデオロギーに勝利して、こうした区別はなし崩しになった。

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