最新記事

教育

普通家庭の子どもを「国産バイリンガル」に育てるベストな方法は?

2021年02月09日(火)19時00分
船津徹

リーディング力の育成に目を向ける

ではごく普通の日本人家庭に育つ子どもが、日本語を犠牲にすることなく、高度な英語力を身につけるにはどうすれば良いのでしょうか?

その答えが英語学習の焦点を「リーディング力の育成」に置くことです。

父親の転勤に伴ってアメリカに移り住んできた6歳の女の子。英会話では苦戦していましたが、私の学習塾でフォニックス(英語のひらがな)とサイトワーズ(英語の頻出単語)を通してリーディングを集中指導することで、数ヶ月後には現地校の授業についていけるようになりました。

その後もリーディング訓練を継続することで着実に英語力を伸ばし、帰国する9歳の時には、ネイティブの小学3〜4年生レベルの英語の本を、辞書なしで読み進められるようになりました。

日本に帰国して英検を受験したところ、日本の大学卒業レベルである「準1級」に楽々合格。単語力をもう少し強化すれば1級にも手が届く高得点での合格でした。現在は日本の公立小学校に通いながら「家庭で英語の読書を楽しんでいます」という報告を両親からもらっています。

上記はアメリカの話ですが、日本で子どもの英語教育を行う場合も原則は同じです。英語学習の中心を「リーディング力の育成」に置くことで、日本から一歩も出ることなく、高いレベルの英語力を育てることが可能なのです。

東京都に住むT君は小学3年生の秋に「英検2級」に合格しました。リスニングは満点で、総合でも東京都内受験者上位2%という好成績でした。でもT君は帰国生でもインターナショナルスクール生でもありません。家庭学習で英語のリーディング力を身につけた「国産バイリンガル」です。

子どもの英語学習の焦点を英会話から「リーディング力の育成」にシフトすることで、日本国内で高度な英語力を達成することが可能になります。英語の本が読めるようになれば、子どもが自学自習で英語力を限りなく向上させていってくれるのです。

リーディング力は誰でも身につけられる技術である

英語の読書を通して、新たな語彙を獲得し、文法法則を理解し、豊かな表現力を身につけることができます。英会話のように話す相手は不要ですし、本が一冊あれば、いつでも、どこでも、いくらでも、一人で英語学習ができます。

ここで明確にしておきますが、私が言うリーディング力というのは、日本の英語テストに出てくる「長文読解」のことではありません。リーディング力とは「英語の本を、早いスピードで、読み解く力」です。

「そんなの日本人には無理だ!」と思いましたか?

無理ではありません。日本人が誰でも日本語が読めるように、英語のリーディング力も、正しい方法で取り組めば、誰でも身につけることができる技術なのです。その証拠に、私が指導している日本人の子どもたちは、皆、自分で英語の本を読むことができます。

リーディング力の育成は計算を教えるようなものです。例えば「1+1=2」を子どもに理解させるには「1」「+」「=」というそれぞれの記号の意味を教えることが必要です。このプロセスを飛ばして「1足す1は何?」と聞いても、子どもは答えられません。

同様に英語のリーディングも「The cat sat on the mat」という記号の羅列から意味を読み取る作業です。フォニックスとサイトワーズで英文を構成する単語の読み方と意味を教えることで、誰でも一定レベルのリーディング力を獲得することができます。計算力を高めるために計算ドリルが必要なように、リーディング力を高めるには、英語をたくさん読む訓練を取り入れればよいのです。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

対中関税10%引き下げで合意、47%に 首脳会談受

ワールド

豪政府が改正環境保護法案、事業認可簡素化や自然保護

ワールド

トランプ大統領、核兵器実験の即時開始指示 習氏との

ワールド

米中首脳会談が終了、関税・レアアースなど協議 対立
あわせて読みたい

RANKING

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    【独占】「難しいけれど、スローダウンする」...カナ…

  • 3

    なぜ女性の「ボディヘア」はいまだタブーなのか?...…

  • 4

    イギリス経済にも大貢献...キャサリン妃の「世界的指…

  • 5

    24歳年上の富豪と結婚してメラニアが得たものと失っ…

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    「エプスタインに襲われた過去」と向き合って声を上…

  • 3

    やはり「泣かせた」のはキャサリン妃でなく、メーガ…

  • 4

    【独占】「難しいけれど、スローダウンする」...カナ…

  • 5

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

  • 1

    「エプスタインに襲われた過去」と向き合って声を上…

  • 2

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 3

    やはり「泣かせた」のはキャサリン妃でなく、メーガ…

  • 4

    「恐ろしい」...キャサリン妃のウェディングドレスに…

  • 5

    日本初の「女性首相」は生まれる?...「高く硬いガラ…

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:高市早苗研究

特集:高市早苗研究

2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える