最新記事

アート

笑える? 笑えない? 「ウォーリーをさがせ!」にも新型コロナウイルスで外出自粛要請

2020年04月22日(水)19時15分
岩澤里美(スイス在住ジャーナリスト)

WALDO(ウォルド)は北米版のウォーリーの呼称。この風刺画には「すごく簡単」とタイトルがついている © Chattanooga Times Free Press, Inc./Clay Bennett

<外出制限が長引くと、人込みの世界に戻りたくなる?>

日本でも、いよいよ全国規模での外出自粛が実施されている。日本より早く外出自粛や外出禁止の措置に踏み切った国や地域では、段階的な解除をすでに始めたり計画したりしているところもあるが、暗いムードが漂う世界のありさまが、絵本の世界に反映した。

その絵本とは、イギリス発の『ウォーリーをさがせ!』。日本でも30年以上前から発売され、最近では、原画や関連作品の展覧会が全国で開催されたように、根強い人気を誇る。そのウォーリーがなんと、外出自粛のために人が少なくなった場所を歩く「新型コロナウイルス版」が出たのだ。

簡単すぎて、ウォーリーじゃない?

といっても、正式なシリーズ本ではなく、パロディ画だ。アメリカの著名な風刺漫画家クレイ・ベネット氏が米地方紙 Chattanooga Times Free Pressに掲載し、自身のツイッターフェイスブックにも載せて、注目を集めている。

「ウォーリーをさがせ! ソーシャルディスタンス版」と付記したこの画は、ベネット氏が連日のように同紙に寄稿しているコロナウイルス感染拡大の風刺画の1つ。感染予防のため、ほかの人と最低2メートル離れるようにするソーシャルディスタンスが描かれている。

普段は人が密集している場所にいるウォーリーが、野原を歩く人たちと2メートル、いや3メートルはあろうかという距離を保たなくてはいけないパンデミック(感染症の世界的な大流行)の現状は、やはり憂鬱だ。

しかし、頭を抱えてウォーリーを探さなくてもよいことが面白くもあり、「すごく笑える」というコメントも寄せられている。「具体的でわかりやすいから、この画を孫とシェアします」という人もいる。確かに、日本の「三密を避ける」イラストのように、混雑している絵にバツを書くのではなく、すでにそうなっている状況のベネット氏のような画のほうがインパクトは強い。

ところで、この画の左下には、「ウォルドに謝罪」と書いてある。その理由をベネット氏に聞いたところ、「他人のイラストのキャラクターを使用して、私の考えを表現したためです」との回答だった。氏は、いつもは、オリジナルの風刺画を描いている。

ベネット氏は、Chattanooga Times Free Pressにオフィスがあるが、現在は在宅勤務している。職場にはモニターが2台あり、1台はニュースを読んだりメールの送受信に使ったりしていて、もう1台のほうで風刺画を描いている。自宅では、ラップトップで仕事をしていて「まるで電話ボックスのなかで健康体操をしているようです」と、不便ななかで仕事を継続している様子をフェイスブックに綴っている。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米ホリデー商戦、オンライン売上高2.1%増に減速へ

ワールド

トランスネフチ、ウクライナのドローン攻撃で石油減産

ワールド

ロシア産エネルギーの段階的撤廃の加速提案へ=フォン

ワールド

カーク氏射殺事件の容疑者を起訴、検察当局 死刑求刑
あわせて読みたい

RANKING

  • 1

    エリザベス女王が「誰にも言えなかった」...メーガン…

  • 2

    「結婚に反対」だった?...カミラ夫人とエリザベス女…

  • 3

    カミラ王妃が「メーガン妃の結婚」について語ったこ…

  • 4

    日本人の自己肯定感は本当に低いのか?

  • 5

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 1

    「高慢な態度に失望」...エリザベス女王とヘンリー王…

  • 2

    「結婚に反対」だった?...カミラ夫人とエリザベス女…

  • 3

    やはり「泣かせた」のはキャサリン妃でなく、メーガ…

  • 4

    エリザベス女王が「誰にも言えなかった」...メーガン…

  • 5

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 1

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 2

    女性の胎内で育てる必要はなくなる? ロボットが胚…

  • 3

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 4

    アメリカ日本食ブームの立役者、ロッキー青木の財産…

  • 5

    人肉食の被害者になる寸前に脱出した少年、14年ぶり…

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:世界が尊敬する日本の小説36

特集:世界が尊敬する日本の小説36

2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは