最新記事

教育

「ダメ、ダメ」言い過ぎる母親を生む日本社会で、自己肯定感の低い子にしない最高の方法

2019年11月26日(火)16時45分
船津徹

連帯責任という強迫観念が無意識のうちに人々を抑圧している?(写真はイメージ)takasuu-iStock

<日本で「他人に迷惑をかけない子に育ってほしい」と思う母親の多さは異常なレベル。この考え方は、子どもの自己肯定感を高めるのに必要な「自主的な行動を通した成功体験」を積ませることとは相反する思想なのです>

国立青少年教育振興機構が、日本、韓国、中国、米国の高校生を対象に行なった意識調査(2018)があります。この中で、「私は価値のある人間である」という質問に「YES」と答えた割合は、日本人は44.9%でした。(韓国83.7%、中国80.2%、米国83.7%)

日本人は謙遜しますから多少色をつける必要がありますが、「自分は価値がある」と答えた高校生が44.9%というのは低すぎる数字です。裏返せば、「自分に価値がない」と感じている高校生が半数以上いるということです。

自己肯定感の定義は様々ですが、この感情を支えているのは、「自分はできる」という「根拠のない自信」であると私は考えています。「自分はできる」と信じている人は、チャレンジを繰り返し、成功体験を積み重ね「根拠のない自信」を「根拠のある自信」に変えていくパワーを持っています。

これとは反対に「根拠のない自信」が小さいと「自分はできる」という自信よりも「失敗するのではないか」という不安感が目の前に大きく立ちはだかり、新しい挑戦がしにくい、人生に対して消極的な態度が形成されてしまうのです。

なぜ、日本人の子どもは自己肯定感が低いのか?

私は、日本、米国、中国で塾を経営し、世界中の国の子育てを見てきましたが、日本人の自己肯定感が低い原因が「まわりに迷惑をかけない子育て」にあるように思えてなりません。

ベネッセコーポレーションが日本、韓国、中国、台湾の母親に行なった「子どもに期待する将来像」という調査で「人に迷惑をかけない人になってもらいたい」と答えた割合は、日本71%、韓国24.7%、中国4.9%、台湾25%でした。日本の71%というのは突出した数字です。

「人に迷惑をかけない人になってもらいたい」というのは「まわりと同じであってほしい」「目立つ存在にならないでほしい」という心理が母親に働いている現れと受け取ることもできます。

これは悪いことではなく、子どもが「出る杭」にならないように、いじめや仲間はずれの対象にならないように、子どもを守ることが目的であり、「日本社会」で生き残る子どもに育てるための母性本能とも言えます。

しかし、子どもが「出る杭」にならないように育てるというのは、言葉を変えると、「個性を抑え、集団に合うように行動をコントロールすること」です。つまり、自主的な行動を通して「自分はできる!」という成功体験を積ませることとは矛盾してしまうのです。

ニュース速報

ワールド

米、1日当たりのコロナ感染8万4000人 過去最多

ビジネス

イタリア格付け見通し、安定的に引き上げ 格付けは維

ビジネス

米債市場、急激な流動性逼迫の再発リスク残る=NY連

ビジネス

仏、英との通商交渉で軟化か 漁業権で妥協の可能性=

RANKING

  • 1

    「鶏肉を洗わないで」米農務省が警告 その理由は?

  • 2

    2100年に人間の姿はこうなる? 3Dイメージが公開

  • 3

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 4

    24歳年上の富豪と結婚してメラニアが得たものと失っ…

  • 5

    フランス人の自信の秘密は「性教育」にあった!? 実…

  • 1

    「鶏肉を洗わないで」米農務省が警告 その理由は?

  • 2

    2100年に人間の姿はこうなる? 3Dイメージが公開

  • 3

    24歳年上の富豪と結婚してメラニアが得たものと失っ…

  • 4

    フランス人の自信の秘密は「性教育」にあった!? 実…

  • 5

    世界最大級のネコ、体重320キロのアポロを見て単純に…

  • 1

    2100年に人間の姿はこうなる? 3Dイメージが公開

  • 2

    「鶏肉を洗わないで」米農務省が警告 その理由は?

  • 3

    世界最大級のネコ、体重320キロのアポロを見て単純に…

  • 4

    フランス人の自信の秘密は「性教育」にあった!? 実…

  • 5

    24歳年上の富豪と結婚してメラニアが得たものと失っ…

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:日本人が知らないワクチン戦争

2020-10・27号(10/20発売)

全世界が先を争う新型コロナのワクチン確保 ── その最前線と日本の開発が遅れた本当の理由

MOOK

ニューズウィーク日本版

絶賛発売中!