最新記事

CBD

実は効果は科学的に解明できていない──大麻よりやさしいCBDという熱狂

HIGH ON THE HYPE

2019年10月29日(火)17時55分
デービッド・フリードマン(ジャーナリスト)

アクシム・バイオテクノロジーズは CBD10ミリグラムを含むガムの製法特許を取得し、販売している。同社は近く、CBDとカフェイン、朝鮮人参、メラトニンやトリプトファンを含む汎用的な「健康ガム」も発売予定だ。CBDには抗菌・抗炎症作用も期待されることから、同社は歯肉炎や歯周病予防の歯磨き粉やマウスウォッシュの臨床試験も予定している。

どういう症状に、どの投与法がふさわしいかを検証する臨床試験も行われている。ウィスコンシン医科大学のヒラードによれば、今も世界で500を超える臨床試験が進行中だ。中には、CBDで稼いだ企業が資金を出しているケースもあるという。

例えばカナライフ・サイエンシズという会社は、癌の化学療法に伴う副作用や肝臓病、慢性的な皮膚病、さらには末期癌の患者にCBDを投与する臨床試験を計画中だ。「末期癌に立ち向かうには強力なハンマーが必要だ」と、同社のディーン・ぺトカナスCEOは言う。だから「骨髄に1万ミリグラムのCBDを注入し、癌細胞の増殖を抑えられるかどうか検証したい」。

研究者たちは今後何年もの時間をかけ、科学的な手法を駆使してCBDの摂取にまつわる混乱を解消していかなければならないだろう。結果が出るまでは、医師も消費者も手探りで歩んでいくしかない。

「CBDを使った治療は未開の分野だ」と、ペトカナスは言う。「私たちはまだ足を踏み入れたばかり。抗生物質で言えば(ぺニシリンが見つかった直後の)1930年代だ」


20191105issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

10月29日発売号は「山本太郎現象」特集。ポピュリズムの具現者か民主主義の救世主か。森達也(作家、映画監督)が執筆、独占インタビューも加え、日本政界を席巻する異端児の真相に迫ります。新連載も続々スタート!

[2019年10月29日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

シャープ、堺工場のディスプレイパネル生産停止 減損

ワールド

ニューカレドニア、憲法改正抗議デモが暴動に 国際空

ビジネス

野村HD、2030年度の税前利益5000億円超目標

ビジネス

午後3時のドルはじり高156円半ば、1週間半ぶり高
今、あなたにオススメ

RANKING

  • 1

    アメリカでなぜか人気急上昇中のメーガン妃...「ネト…

  • 2

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 3

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 4

    精子バンクより、規制のないSNSやアプリでの「精子提…

  • 5

    メーガン妃を熱心に売り込むヘンリー王子の「マネー…

  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 2

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 3

    【ヨルダン王室】世界がうっとり、ラジワ皇太子妃の…

  • 4

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 5

    「私は妊娠した」ヤリたいだけの男もたくさんいる「…

  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 2

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 3

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 4

    メーガン妃の「限定いちごジャム」を贈られた「問題…

  • 5

    【ヨルダン王室】世界がうっとり、ラジワ皇太子妃の…

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:インドのヒント

特集:インドのヒント

2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり