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ランプの魔法も効かない!? 実写版『アラジン』に拭いきれない嫌な予感

Not Quite a Whole New World

2019年06月06日(木)17時00分
インクー・カン(カルチャーライター)

実写版の大きな魅力は、登場人物が具体的に肉付けされ、それぞれ複雑な動機を抱えていること。ランプをこすった「ご主人様」の命令に逆らえないジーニーは、権力に飢えた人間の野心に幻滅を隠さない。王女として定められた結婚を嫌がるジャスミンの感情は、ティーンエージャーにありがちな不機嫌さだけではない複雑さに満ちている。

ジャスミンの父サルタンの臣下で、アラジンと同じコソ泥から大出世したジャファーは、サルタンより偉大な王になるという夢を見る。ただしマーワン・ケンザリの演技は、悪役の人間味あふれる悲劇を引き出していない。

新しい『アラジン』は、本当の意味で新しい世界(ホール・ニュー・ワールド)を見せてくれるわけではない。目新しい解釈やボリウッド流の多様性によって、「新しい感じ」を醸し出してはいるのだが。

©2019 The Slate Group

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※6月11日号(6月4日発売)は「天安門事件30年:変わる中国、消せない記憶」特集。人民解放軍が人民を虐殺した悪夢から30年。アメリカに迫る大国となった中国は、これからどこへ向かうのか。独裁中国を待つ「落とし穴」をレポートする。

[2019年6月11日号掲載]

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