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遅れてばかりのドイツ鉄道へ恨みを込めて編んだ「遅延マフラー」とは?

2019年01月10日(木)18時00分
河内秀子(ドイツ在住ライター)

グレー、ピンク、赤で色分けされた手編みのマフラー @sara_weber-Twitterより

<通勤電車の遅延が多いことに不満に持った女性が、電車の遅延状況を毎日記録したマフラーを作成、ドイツのツイッターで話題になっている>

新年早々ドイツでツイッターにカラフルなマフラーの写真が流れてきた。このマフラー、ミュンヘン近郊に住むクラウディア・ヴェーバーさんが2018年の1年間、通勤に利用しているドイツ鉄道の電車の遅れを記録するために編んだもの。毎日2段ずつ、遅れが5分以内の日はグレー、5分から30分ならピンク、30分以上は赤の毛糸を使った。

1.5メートルもの長さになったこのマフラーを娘のザラさんが写真に撮り、1月6日にツイートしたところ、2万以上の「いいね」がつくヒットに。遅延が多いドイツ鉄道に不満を持つ人たちから広く共感を得たようだ。

ミュンヘンのタブロイド紙であるTZ紙によると、ヴェーバーさんは25年間、ドイツ鉄道での片道40分の通勤を繰り返してきた。「最近しょっちゅう電車が遅れる」と思った彼女は、2018年1月2日から遅延の記録のためにマフラーを編み始めた。

1日に2段、グレー、ピンク、赤と、通勤電車の遅延の長さによって色を分けて編んだマフラーは、最初の方は遅延5分以内のグレーから始まっているが、真ん中には大きな赤い部分がある。赤は30分以上遅延の色だ。これは夏にドイツ鉄道がレール交換工事のため運休し、振替運行が行われた期間だという。ヴェーバーさんの通勤時間は通常の40分から2時間弱に増え、日に往復で4時間、ひどい時には5時間も通勤のために電車を乗り継ぐことが6週間半続いた。赤い部分が増すほどにヴェーバーさんの怒りも増していった。工事が終わってからは状況は改善されると思ったが、年末までちょくちょく赤い毛糸が使われた。

ドイツ鉄道は遅延を認めたうえで「この編み物のアイデアは素晴らしい」としている。「夏の長期工事の期間は、別のより時間のかからない振替運行もありました。しかし、他はもう謝罪の言葉もありません。今後ヴェーバーさんには、グレーの毛糸を贈りたいです」。ちなみにヴェーバーさんの定期券代は月額175ユーロ以上だそうだ。

ドイツ最大の鉄道会社になぜ遅延が多いのか

ドイツ人は時間にきっちりしているのではなかったか。ドイツ鉄道に関しては残念ながらそれが当てはまらないようである。ここ5年間のドイツ鉄道の遅延の割合は全体の2割強。2018年は11月までで時間通り(ドイツ鉄道の「時間通り」には6分までの遅延が含まれる)に到着したのは全体の73%だそうだ。

2017年の年間遅延合計は遠距離で330万分、地方近郊列車では432万分だった(参照:連邦政府/ドイツ鉄道)。ドイツ公共放送連盟(ARD)の調べによると、ドイツ鉄道は内々に昨年度までの目標として掲げていた「全体の82%を時間通りに到着させる」に到達できず、目標達成を2025年まで延長したという。

なぜドイツ鉄道はこんなに遅れるのか。独ツァイト紙によると、その理由は多岐にわたるという。高速列車ICEの5本に4本の列車になんらかの技術的欠陥があるとも言われているが、遅延の理由にはこの技術的問題だけでなく、5000人以上の人員不足、乗客の増加による線路の負荷への対応で工事が増えたことなどが挙げられている。

ドイツ鉄道は1994年、東西ドイツの国営鉄道が統合し民営化されて誕生した。ただし民営化とはいえ、現在も株式は100%政府保有である。前社長メードルンが在任時(1999〜2009年)、大規模な人員削減のほか様々な経費削減策を行ったが、それが運行の正確さを失ったことに影響しているとの批判もある。

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