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性器を握り、触る......「捕食者」と呼ばれる国連高官の手口と国連の闇

A CANCER IN THE U.N.’S CORRIDORS

2018年11月20日(火)17時00分
ローリー・ラバーティ(ジャーナリスト)、ジェームズ・ラポルタ(本誌記者)

ニューヨークの国連本部役員室 ERIC THAYERーREUTERS

<女性や若者の問題を担当するエリート職員のセクハラ疑惑は国連という組織の制度と文化の問題点を浮き彫りにしている>

UNウィメン(ジェンダー平等と女性のエンパワーメントのための国連機関)の創設は2011年1月。巨大な官僚機構である国連に加わった最も新しい組織で、世界中から性差別をなくすことを目的としている。ところが、その上級顧問の1人が1年以上前からセクハラ容疑で内部調査の対象になっているというから驚きだ。

UNウィメンの報道官は当該人物の名を明かさなかったが、その人物が在職中であることを認め、ただし「現時点で職務は行っていない」とした。

調査関係者の情報によれば、調査の対象は国連事務総長補の上級顧問ラビ・カルカラという人物。容疑は地位と特権を利用し、少なくとも8人の男性に対する性的虐待を行ったことだ。

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カルカラは女性や若者の権利を守る機関の要職を務める DEVRA BERKOWITZ/UN PHOTO

告発によれば、カルカラは部下に対して卑猥な発言や身ぶりを繰り返し、ホテルの部屋で部下の性器を握り、触るなどの虐待を行っていた。また職場内外でのパワハラや虐待でも告発されている。

人権活動家のマンディ・サンゲラとケリー・ギブソンによれば、最初に告発を行ったのはギブソンと被害者の1人だ。サンゲラはカルカラを「捕食者」と呼んで非難し、「長年の不適切な性的行動パターンがついに明らかになった」と語った。

国連子供・若者メジャーグループの元組織パートナー、アーシッシュ・キュラーも、カルカラに何らかの卑猥な行為をされたという「7〜8人の」若者から直接話を聞いたという。

キュラーはまた、国連開発計画監査室の調査官とも話をした。「彼と仕事をした人々の間では、職権乱用は日常茶飯事という認識が広まっていた。セクハラが明るみに出ても誰も驚いていない」と、キュラーは言う。

【参考記事】「トランスジェンダーであるだけで殺される国」パキスタンに「LGBT法」成立

政策活動家で、国連子供・若者メジャーグループのメンバーであるスティーブ・リー(25)は、カルカラを訴えた被害者の1人だ。リーは国連がセクハラ対策だけでなく、人事や採用の方針も改めてほしいとの思いから、名前を明かして本誌の取材に応じた。

リーが初めてカルカラに会ったのは09年、16歳でユニセフ(国連児童基金)に代表として派遣された時だ。16年1月、カルカラは自分の仕切る政策グループにリーを加えた。

しかしやがて、リーは感謝の念と同時に不快感を抱くようになった。リーは自らを、純朴で恋愛には不慣れで敬虔なキリスト教徒だと語る。カルカラはそのことを嘲り、メールやスカイプ、ソーシャルメディアでも執拗に「口撃」を繰り返したという。

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