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果敢に挑戦するマインドは猫のお陰?「猫と起業家」の興味深い関係とは

2018年07月31日(火)13時50分
松岡由希子

猫と暮らすことが起業と関係している? Savushkin-iStock

<猫の寄生虫であるトキソプラズマに感染した人は起業志向が高まるという研究論文が話題を呼んでいる>

アップルのスティーブ・ジョブス、マイクロソフトのビル・ゲイツ、グーグルのラリー・ペイジ、テスラのイーロン・マスクら、前例のないことにも果敢に挑戦し、新しい事業を創り出す起業家には、いったいどのような特性があるのだろうか。

米コロラド大学ボルダー校の研究プロジェクトは、2018年7月25日、英学術専門誌「英国王立協会紀要」において、「トキソプラズマに感染している人は起業志向がより強い」というユニークな研究論文を発表し、話題を呼んでいる。

猫に接していれば...ヒトも20億人以上が感染

トキソプラズマは哺乳類や鳥類に寄生する寄生性原生生物のひとつ。主に猫の糞の寄生虫として知られている。加熱が不十分な食肉や、猫の糞が混入した食品を経口摂取することでヒトにも感染し、2006年時点で世界人口の3割から5割にあたる20億人から30億人がこれに感染していると推定されている。

研究プロジェクトが実施した調査によると、大学生1495名のうち、唾液検査によってトキソプラズマへの感染が確認された学生は、経営学を専攻する傾向が1.4倍高く、とりわけ経営管理や起業家精神を専門分野に選ぶ傾向が1.7倍も高かった。また、社会人197名においても、トキソプラズマに感染している人は、そうでない人に比べて起業する傾向が1.8倍高かった。

さらに、研究プロジェクトでは、トキソプラズマの感染に関する国別データと起業の実態をグローバルに調査する「グローバル・アントレプレナーシップ・モニター(GEM)」の結果データとを組み合わせ、世界42カ国について過去25年間にさかのぼって分析した。その結果、国レベルでも、トキソプラズマ感染の有病率が高いほど、起業活動や起業志向を高める傾向にあることがわかった。

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