最新記事

アメリカ政治

「改革派」ブッシュ弟は予備選を生き残れるか

16年米大統領選への出馬が有力視されるジェブ・ブッシュが直面する共和党のジレンマ

2014年12月16日(火)16時51分
ジョン・ディッカーソン

良識派 ジェブ・ブッシュはイデオロギー対立より合意形成を重視 David Gray-Reuters

 数々の皮肉な名言を残したアメリカの喜劇俳優グラウチョ・マルクスは、かつてこう語った。「私のような者を入れたがるクラブには入りたくない」

 一方、ジョージ・W・ブッシュ前大統領の弟で、16年米大統領選挙の共和党候補指名争いへの参戦が噂されるジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事は、「自分が入りたくないクラブの代表になりたい」ようだ。

 彼の意思は、最近ウォール・ストリート・ジャーナル主催の会合で語った言葉からも明らか。大統領選出馬の可能性について問われたブッシュは、「共和党がどうすれば勝てるのかは大体分かる」と話した。「前向きで現実的になろうとすればいい。そして、本選で勝つために予備選で負けることだ」

 共和党の予備選と本選との関係について、ブッシュはこう言いたいらしい。共和党というクラブの代表を選ぶコンテストは、破綻している──。

 共和党候補者は予備選を勝ち抜くために、本選では到底有権者から受け入れられないような保守的な主張を声高に叫ばざるを得ない。中道寄りのブッシュは、イデオロギーの対立は脇に置いて、合意を築くべきだとも主張した。

 ブッシュが大統領選に名乗りを上げた場合、共和党のお決まりのパターンを覆す革命的人物になるか、あるいはジョン・ハンツマンの二の舞いになるかのどちらかだろう。12年の予備選に立候補した前ユタ州知事のハンツマンも、共和党の指名プロセスを批判。だが予備選で嫌われ、撤退した。予備選は「合理的な思考や現実主義が通用しない場だった」と振り返っている。

 共和党の候補指名プロセスにのさばるイデオロギー主義をブッシュが批判するのは、これが初めてではない。12年に、父ジョージ・ブッシュもロナルド・レーガンも、今の共和党で立候補したら指名を得るのは難しかっただろうと発言している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国8月鉱工業生産・小売売上高伸び鈍化、刺激策が急

ワールド

アングル:学校から排除されたアフガン少女、頼みの綱

ワールド

アングル:水大量消費のデータセンター、干ばつに苦し

ワールド

アングル:米国のインフルエンサー操るロシア、大統領
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ニュースが分かる ユダヤ超入門
特集:ニュースが分かる ユダヤ超入門
2024年9月17日/2024年9月24日号(9/10発売)

ユダヤ人とは何なのか? なぜ世界に離散したのか? 優秀な人材を輩出した理由は? ユダヤを知れば世界が分かる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座のママが説くスマートな断り方
  • 2
    【クイズ】自殺率が最も高い国は?
  • 3
    「もはや手に負えない」「こんなに早く成長するとは...」と飼い主...住宅から巨大ニシキヘビ押収 驚愕のその姿とは?
  • 4
    広報戦略ミス?...霞んでしまったメーガン妃とヘンリ…
  • 5
    ロシア空軍が誇るSu-30M戦闘機、黒海上空でウクライ…
  • 6
    ウクライナ「携帯式兵器」、ロシアSu-25戦闘機に見事…
  • 7
    北朝鮮、泣き叫ぶ女子高生の悲嘆...残酷すぎる「緩慢…
  • 8
    ウィリアムとヘンリーの間に「信頼はない」...近い将…
  • 9
    キャサリン妃、化学療法終了も「まだ完全復帰はない…
  • 10
    この「自爆ドローンでロシア軍撃破の瞬間」映像が「…
  • 1
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座のママが説くスマートな断り方
  • 2
    「もはや手に負えない」「こんなに早く成長するとは...」と飼い主...住宅から巨大ニシキヘビ押収 驚愕のその姿とは?
  • 3
    「まるで別人」「ボンドの面影ゼロ」ダニエル・クレイグの新髪型が賛否両論...イメチェンの理由は?
  • 4
    【現地観戦】「中国代表は警察に通報すべき」「10元…
  • 5
    「令和の米騒動」その真相...「不作のほうが売上高が…
  • 6
    アメリカの住宅がどんどん小さくなる謎
  • 7
    【クイズ】自殺率が最も高い国は?
  • 8
    強烈な炎を吐くウクライナ「新型ドローン兵器」、ロ…
  • 9
    メーガン妃が自身の国際的影響力について語る...「単…
  • 10
    ロシア国内の「黒海艦隊」基地を、ウクライナ「水上…
  • 1
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座のママが説くスマートな断り方
  • 2
    ウクライナの越境攻撃で大混乱か...クルスク州でロシア軍が誤って「味方に爆撃」した決定的瞬間
  • 3
    エリート会社員が1600万で買ったマレーシアのマンションは、10年後どうなった?「海外不動産」投資のリアル事情
  • 4
    電子レンジは「バクテリアの温床」...どう掃除すれば…
  • 5
    ハッチから侵入...ウクライナのFPVドローンがロシア…
  • 6
    年収分布で分かる「自分の年収は高いのか、低いのか」
  • 7
    日本とは全然違う...フランスで「制服」導入も学生は…
  • 8
    「棺桶みたい...」客室乗務員がフライト中に眠る「秘…
  • 9
    「まるで別人」「ボンドの面影ゼロ」ダニエル・クレ…
  • 10
    森ごと焼き尽くす...ウクライナの「火炎放射ドローン…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中