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Z世代の女性はなぜ生きづらいのか【後編】

UNDER PRESSURE

2026年4月14日(火)18時30分
キャサリン・ファン (カルチャー担当)
PHOTOS COURTESY OF INTERVIEWEES

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<厳しい経済状況と政治的分断に加え、SNSネイティブ特有のストレスにさらされて、メンタルの不調に悩むケースも>


▼目次
SNSはキャンディー工場
逆境でもユーモアを見つける

昨年、アメリカの住宅所有率は6年ぶりの最低水準となり、Z世代では27%にとどまった。X世代では73%、ベビーブーム世代は80%だった。

「投資ファンドに勤めていて年収50万ドルの友人がいるけれど、彼女でさえ『家を買える気がしない』と言っている。だったら、私たちはどうなるの?」と、ニューヨークに住むテック営業職のスザンナ(27)は言う。

アソシエートプロデューサーのテス(28)は、育ったサンフランシスコを愛していた。しかし、もうあの街で暮らすことは「かなり難しい」と感じている。現在はカンザス州カンザスシティーに住み、寝室と浴室が複数あって庭付きの家に住んでいる。家賃は西海岸で1室を間借りしていた頃と同程度だ。

ジャーナリストのローリン(27)は解雇された後、貯金をしたくてサウスカロライナ州グリーンビルの実家に戻った。リモートでフリーランスの仕事をしながら、フルタイムの職を探している。これまで65件の求人に応募した。

歴史的に見れば、アメリカの失業率は依然として低い。だが採用は鈍化しており、しかもAIが代替できる新人レベルの仕事は減少傾向だ。Z世代の失業率は全国平均のほぼ2倍であり、パンデミック以降、自分またはパートナーが解雇を経験したと答えるZ世代の成人は5人に1人近くに上っている。

サンフランシスコに住むソフトウエアエンジニアのエイメン(23)は、最初のインターンに就くまでにローリンの7倍の求人に応募した。「正確には453件」と、彼女は語る。現在エイメンは大手テック企業で働いているが、いつ応募したのか分からない求人の不採用通知メールが、今でも時折届くと言う。

Z世代の女性はAIによる変化からある程度まで守られている。新技術による代替が進みやすいSTEM(科学、技術、工学、数学)の分野では男性の割合が高い。一方で女性は医療や教育の分野に多く、AIにやや置き換えられにくい職種だ。

最も安心な仕事は「自分でつくり出す仕事」だと考える女性もいる。現在は歴史上初めて女性の起業件数が男性を上回っており、この逆転を牽引しているのがZ世代だ。ガスト・インサイツの昨年の報告によれば、Z世代およびミレニアル世代の新たな起業の52%は女性による。この数字はベビーブーム世代での36%、X世代での47%をしのぐ。

マデリン(28)は、昔から医療の道に進みたいと考えていたが、大学では政治学を専攻した。ペンシルベニア州フィラデルフィアで研修医となった彼女は、その2つの分野が交差する場面を日常的に目にしている。

連邦政府が移民の取り締まりを強化して以来、患者が予約をキャンセルするケースが増えている。自分の情報が移民関税執行局(ICE)に渡るのを恐れて、通院を控えているのだ。

ニュージャージー州出身の彼女にとっては「一周回って戻ってきた」かのような出来事だ。両親がコスタリカ移民のマデリンによれば「子供の頃にICEが家に来て、父が連れていかれそうになった」。「世界で起きていることは、全て自分に引き寄せられるように感じる。人はさまざまな困難に直面する。患者と向き合うとき、常にそれを意識する」

政治は建設プロジェクトマネジャーのジューン(27)の職場にも忍び込む。「非常に保守的な男性たち」と仕事をしていると語る。ロサンゼルスの彼女の職場では「20代や30代の若い男性の中にも、ものすごく保守的」な人が多いと言う。同じZ世代の男性の同僚たちは、結婚したのだから家事は全てジューンがやるべきだと冗談めかして言う。さらに世代間の価値観の違いも厄介だ。隣に座る80代男性は変わろうとしない。

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セリーナ(26)はルイジアナ州バトンルージュ在住のソーシャルメディアマネジャー COURTESY OF SERENA (10)

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