冬ごもりを忘れたクマが来る――「穴持たず」が引き起こす人喰いの連鎖
Frank Fichtmueller -shutterstock-
<ノンフィクション作家の中山茂大氏は「冬ごもりしない穴持たずと呼ばれる個体は、空腹と恐怖心から人を襲う危険が高い」と警鐘を鳴らす。明治の北海道を震撼させた「丘珠ヒグマ事件」も、穴持たずによる熊害だった>
人間を襲う凶暴なクマにはどのような特徴があるのか。
ノンフィクション作家・人喰い熊評論家の中山茂大さんは「何らかの理由で冬ごもりしない『穴持たず』と呼ばれる個体には、注意したほうがいい。明治時代の北海道で死者4人、負傷者1人を出した『札幌丘珠事件』(以下、丘珠ヒグマ事件)は、『穴持たず』による熊害とされている」という――。
凶暴なクマ「穴持たず」とは
連日のようにメディアを賑わせているクマ被害。死者12人(10月30日時点、環境省まとめ)を出した全国のクマによる人身被害は、過去最悪を更新することが確実となった。
ただそれも、クマの冬ごもりと同時に終息すると思われる。
クマの冬ごもりは例年、遅くとも12月中旬までには完了するといわれる。
しかし十分なエサが得られなかったり、適当なクマ穴が見つからない、何らかの要因で一度入ったクマ穴を放棄せざるを得ない等の理由で、冬季間も山野を徘徊する個体が稀にいる。このような個体は「穴持たず」といい、空腹を抱えているため極めて凶暴かつ危険とされる。
そして実際に起きた、このような「穴持たず」による凶悪事件が、明治11年に北海道で発生した「丘珠ヒグマ事件」である。
「丘珠ヒグマ事件」は、北海道開拓使の置かれた札幌府の近郊で起こったこともあり、当時の入植者らを震撼させた。また被害者の遺体の一部が、札幌農学校(現北海道大学)付属植物園に長らく陳列されたこともあり、道民の間ではよく知られた事件である。
そのため事件に触れた記録はいくつも残されているが、詳細な資料は乏しい。
明治時代の北海道で発生した「凶悪事件」
本件については拙著『神々の復讐』(講談社)でも取り上げたが、今回新たな資料を入手したので再度検証を試みたい。
まず北海道帝国大学教授、八田三郎による『熊』(明治44年)を引用してみよう。
明治11年(1878年)12月25日の当夜は非常な雪降りであった。師走の忙しさに昼の疲れもひとしおで、炉に炭を焚きたてて安き眠りに就いた。一睡まどろむ間もなく、丑の刻と思しきに、暗黒なる室内に騒がしい物音がした。
倉吉は目を覚まし「誰だッ」と云う間もあらず、悲鳴を挙げた。やられたのだ。妻女は夢心地に先ほどからの物音を聞いていたが、倉吉の最後の叫びに喫驚し、裸体のまま日も経たぬ嬰児をかかえて立ち上がった。この時背肌にザラッと触れたのは針の刷毛で撫でたような感じがした。熊に触れたのだ。
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